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行手を阻む小柄な道化師に、魔女は軽く顔を顰めた。
『何のつもりだい？退いてくれよ、私は帰りたいんだが？』
「まぁまぁ、ちょっと待っておくれよ。まだショーは始まったばかりだ、帰るには少し早すぎるんじゃない？」
『いいや？私は君が思うより忙しい身だからな、家に帰れば用事はたんとある。さぁほら、そこを退いてくれ』
「相変わらず辛辣だねェ」
道化師はケラケラと笑って、仮面の奥の片目を閉じる。
「でもね、今日だけはどうしても、僕のショーを見ていって欲しいんだよ。……いいだろう？滅多にしないおねだりさ」
ニッコリと絶えず弧を描いていた唇はきゅっと引き結ばれ、いつになく真剣な、低い声がそう言った。
その声に、魔女は深い溜息をひとつ吐く。
『何だ、また
呆れたように言って肩を竦め、魔女は椅子へ座り直した。
道化師は満面の笑みを浮かべて、ピンと伸ばした人差し指を“チッチッチ”と左右に振る。
「ゲテモノなんてとんでもない！あれはこの世で１番美しい宝石さ！」
興奮気味の道化師をやや引いた様子で眺め、魔女はまた退屈そうに頬杖をついた。
『私は金銀財宝には興味はないぞ？それに“この世で１番”なんて陳腐な肩書きもお呼びじゃない』
「“この世で１番”を陳腐と言える君も好きさ」
『頼むから死んでくれ』
聞き飽きた愛の言葉を辛辣に切り捨てる。
道化師は傷付いたフリをして、隠し切れない笑みを口元に残したまま魔女の前に立ち、大きく大袈裟に腕を広げた。
「君も一目見れば気に入るさ。あれは今宵の目玉商品だからネ」
『それで本物の目玉だった、って
「ナイスジョーク！君が冗談を言うなんて珍しいね！」
『はは、君ちょっと記憶障害があるみたいだから、頭の病院にでも行ってきたら？』
今言ったことをそっくりそのまま実行したことがあるくせに、いけしゃあしゃあとよくも言う。
魔女はドボドボと乱雑にワインを注ぎながら、道化師の足を軽く蹴飛ばした。
道化師は全く動じずに、懐中時計を一瞥し、帽子を脱いでお辞儀をする。
「おっと、そろそろ行かなくちゃ。目玉商品、342番、それを見るまで帰っちゃ駄目だよ！」
『一体どれだけ待たせる気なんだ！』
魔女の不満を聞き流して、道化師は足取り軽く、舞台の上へと戻って行った。
第二幕「目玉商品には目玉があった」→←第一幕「道化師たちのオークション」
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シディア - わぁ！！！いなくなってた間にまた面白そうな作品が！！！他の作品も含めて続き楽しみにしています！ (2022年1月10日 14時) (
レス) id: 939d5c7779 (このIDを非表示/違反報告)
よなが(プロフ) - 暇なふぁいるさん» 気に入っていただけたようで嬉しいです。ありがとうございます！ (2021年11月23日 13時) (レス) @page7 id: 58d4b2eb6a (このIDを非表示/違反報告)
暇なふぁいる(プロフ) - クラウンめっちゃ好みのキャラです！これからも読ませていただきます (2021年11月23日 12時) (レス) @page6 id: 115c38c07a (このIDを非表示/違反報告)
よなが(プロフ) - 暇なふぁいるさん» フラグ付いてるの今気付きました！外したと思ってたんですけど……すみません！ご忠告くださった皆様、ありがとうございます！申し訳ありませんでした！！！ (2021年11月23日 10時) (レス) id: 58d4b2eb6a (このIDを非表示/違反報告)
暇なふぁいる(プロフ) - フラグついてますよ！！ (2021年11月23日 9時) (レス) @page5 id: 115c38c07a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：よなが | 作成日時：2021年11月22日 3時
