048.必要なもの ページ50
─ 一郎side ─
一郎「そうだったのか。それは優しい兄ちゃんだな」
A「はい、私の自慢の兄でした」
と微笑む顔はどこか哀しげだった。
兄の話をした一瞬はとても楽しそうに話した。が、話終わって微笑んだ顔はとても寂しそうな顔をしている。
そして全て過去形で話してきている。そう、おそらくこいつの兄はきっともう────
俺はそう思ったが、本人には聞かないでやった。
そうか、もし俺がいなくなったら、あいつらもこんな風に俺の話を哀しそうに話すのか。
そんなことはさせられないな...そしてこいつにも、兄の代わりに頼りにする相手が必要なのか。
なるほど、それであの警官ってわけだ。話が通った。だが、そもそもあの警官とあいつはどこで知り合ったんだ?
気になる...が、まずはこいつを助けるのが最優先だ。依頼主そっちのけでは仕事とは言えない。
一郎「なぁ、俺には二人弟がいるんだが」
A「はい、それは知ってます。なにしろ一郎さんは有名人ですから...」
一郎「知ってくれてるのか、ありがとな。それでなんだが、俺の弟達に会ってみねぇか?」
A「え?...いやいやいやいや、弟さんもイケブクロ代表のメンバーですよね?そんな有名な方々にお会いするなんて滅相もないです」
一郎「んな堅いこと言うなって。お前、兄貴が好きなんだろ?なら話が合うかもしんねぇ。俺の弟達も毎日兄ちゃん、一兄って騒いでんだよ。」
A「そうなんですね、それは楽しそうです。」
一郎「ああ、毎日騒がしくて喧嘩ばっかしてるんだが、それでもあいつらは俺の自慢の弟たちだ。お前の兄貴もきっと、お前のことを自慢の妹だと思ってたはずだ」
A「そうですかね...お兄ちゃんには迷惑ばっかりかけてた気がします」
一郎「そんなこたねぇよ、一家の長男である俺が保証してやるから。そしてお前には話相手が必要だ。な?一度会ってみないか?」
A「そこまで言うなら...」
ってわけで、あいつらに会わせてやることにした。喧嘩しねぇようによく言っとかなきゃだな。
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作者名:白虎 | 作成日時:2018年8月8日 11時