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「私、この前も言ったけれど、貴方が好きなの」
大広間に流れる音楽も、盛り上がる生徒たちの声も、何も聞こえない。
ふたりきりの世界に、Aの声だけが響いた。
ドラコは隣に座るAの横顔を見つめた。
儚げな表情でどこか遠くを見つめている彼女は、美しかった。
「フランスに連れ戻されたとき、私、両親を恨んだのよ。貴方たちの駆け落ちせいで、私はこんなに苦しめられてるのよ、って。でも…今なら分かる気がするわ」
愛って、なにものにも変えられないもの。
そう言って、Aはドラコににこりと笑いかける。その笑みは優しく、そしてどこか寂しそうだった。
「私、婚約破棄なんて嫌よ、とは言ったけれど…やっぱり、怖いわ。おばあ様に歯向かう勇気なんて、持ち合わせてないの」
Aは俯き、唇を噛んだ。
悔しいのだ。立派なことを言っておきながら、行動に踏み出せない自分が。
ドラコは、彼女の頬に片手を添え、顔を上げさせる。アイスグレーの瞳が、スカイブルーの瞳を捉えた。
「僕は、いつまでも待つ。それでも、Aのおばあ様が駄目だと言うのなら、迎えに行こう。それで…」
「それで？」
「それで、どこか遠くに行くんだ。誰も追いかけてこれないような、どこか遠い、2人だけのところへ」
Aはふふ、と笑いを溢した。
先程までの不安げな表情はどこかへ吹き飛び、いつものように可愛らしい笑顔だった。
「…キス、しても？」
ドラコには分からなかった。
女性にキスするときは、断りが必要なのだろうか。彼女は許嫁だし、想い合っているのだから、きっとキスしても構わないのだが、念には念を、彼は恐る恐る尋ねる。
Aは、くすくすと笑い、自分の頬に添えられたドラコの右手に、自らの左手を重ね、彼に顔を近付けた。
「どうぞ」
彼女は両目を閉じ、形の良い唇を閉じる。
美しく、色っぽいAに、ドラコは目眩がした。
ドキドキしながら彼女に顔を近づけると、ドラコも目を閉じ、そして彼女にキスをした。
ただ優しく触れるだけの、ライトキス。
ドラコが唇を離せば、2人は額をこつんと合わせ、少し恥ずかしそうにに笑い合った。
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Alice(プロフ) - ダンスの誘い方やばすぎです！！もう深海さんの書き方好きすぎます！命がいくつあっても足りません(*´ཫ`*)このふたり永遠に幸せになれ！ (2023年3月1日 13時) (
レス) id: fa4665eb65 (このIDを非表示/違反報告)
ありもぎ - ヤバいです！私の心臓がもたないぐらいドッキドッキしてました！最高です！この作品に出会えて本当に良かったです！ (2022年3月28日 21時) (レス) @page42 id: 2f0ff669f2 (このIDを非表示/違反報告)
エマ - 読む手がとまらなかったです、、感動しました。深海さんが描くドラコの姿が本当に大好きです。 (2022年3月25日 18時) (レス) @page47 id: 6cc22acf6a (このIDを非表示/違反報告)
たにぴこ - 深海さんの書くマルフォイとの作品がこの作品に限らず大好きです。少し頼りないマルフォイと上品で芯のある主人公が大好物過ぎて最高です！！応援してます！ (2022年3月6日 17時) (レス) @page1 id: eef41b04d0 (このIDを非表示/違反報告)
u(プロフ) - 夢主とマルフォイの立ち位置が決まっていた理由までしっかりしていてもう本当に素晴らしいです…泣 (2021年2月23日 22時) (レス) id: 01ce421b84 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：深海
| 作成日時：2020年11月12日 1時
