第十四話 ページ15
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「ねえ、聞いた?さとみくんのこと!」
「うん、聞いた。彼女と別れたって事でしょ?」
「これでウチらにもチャンスあるじゃん!よっしゃ!」
「(……)」
……どこを歩いても桃瀬の噂。うちの学校の女子達は、最近ずっとこの話題だ。
風邪を引いた日の翌日、学校に行けば「桃瀬里見が彼女と別れた」という話が飛び交っていた。なんでも本人が男友達に言ったらしい。
「王子、彼女と別れてたんだね」
「蜂須賀までその話題?」
「まあね。気になるし」
それとも何、なんかダメなところでもあるの?と蜂須賀が聞いてくる。
「…別に?ただ人の不幸を喜ぶのかなって」
「……まあそうね。でもそう思うことで自分が救われるんだもん。良いんじゃない?」
蜂須賀は時々、不思議な発言をする。他人なんてどうでもいい、という真意が込められたような発言を。
「佐倉さん、あかり、ちょっと良い?」
そのままぐだぐだしていると、ふと誰かに話しかけられる。振り向けばそこには、クラス委員の女の子が居た。話したことのない女の子で、思わず身構える。すると蜂須賀が苦笑しながら応えてくれた。
「はいよ、何?」
「文化祭実行委員の打ち合わせ、今日の放課後に決まったから。場所は3年1組ね。」
「……ん?」
「分かった。持ち物は?」
「筆箱だけで良いって」
女の子はそれじゃ、と言って自分の席へ帰っていく。……いやちょっと待て。
「私、文化祭の実行委員なんて引き受けてたっけ?」
すると蜂須賀はああ、と呟く。
「あんたが風邪で早退したときに決まったの。私は立候補だけど、あんたは自動的に決まったわ。」
「……はい?」
「いや、先生が蜂須賀と組ませるなら佐倉だろ、って言ってさ?反対するやつ居ないし決定」
「それ押し付けられただけじゃない?」
「そうとも言える」
「ええ…」
正直めんどくさい。私が面倒だと思うのだから、きっと他の皆も面倒だと思ったのだろう。だから私に押し付けたのか
「いつから押し付けられる存在になったんだよ私…」
どっとマイナスな感情が流れ込んでくる。はあ、と大きくため息をついて机に突っ伏した。
「……ま、嫌なら変われば?たぶん放課後には変われー!って言われるよ」
「は、なにそれ。皆私に押し付けたくせに?」
イライラしながらそう返せば、蜂須賀はうん、と頷く。そして言った。
「だって実行委員のメンバー、王子全員集合だもん」
……何だって?
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佐薙(プロフ) - わたぐもちゃん@推しが尊い連盟さん» コメントありがとうございます!そう言っていただけると作者冥利に尽きます…!! (2020年1月12日 16時) (レス) id: c21af064dc (このIDを非表示/違反報告)
わたぐもちゃん@推しが尊い連盟(プロフ) - こんにちは!!素敵な作品ですね!!たくさん大援しますね!! (2020年1月12日 1時) (レス) id: f4327bfb3f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:佐薙 | 作成日時:2020年1月6日 20時