死神に恋をしました (ページ13)

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第10話ページ13

No side

｢アイツが、ですか？｣

時刻は朝の2時

場所は人間界の路地裏

人によって例外はあるが、普通は寝ている時間だ

だが、その時間帯に路地裏で電話を片手に探り探りの声を発している人物がいる

『そ、＿＿＿＿を人…に送っ……ら、なるべ…あげ…ね』

電話の相手の性別は分からない

声は辛うじて聞こえるが、男にしては声が高く、女にしては声が低い

｢けど俺も都合が…それに、気づかれたら色々とめんどくさいし…｣

『大丈…、あの子は……いて…いようだ…』

｢…｣

『…に、今…は……ろい…よ？』

｢…今のこの状況、完全に楽しんでいますよね｣

『……り前じゃ…か』

男は観念したようにため息を一つつき

｢…で、どうしろというんですか｣

今後の自分の行動について問いかけた

『ほ…の少…、…を見て……でいい。
多分、今……を知っ…、君の…も変わ…んじ……な』

｢なるほど、あなたがそこまで言うのなら…｣

『あぁ、よ…しく……よ。＿＿＿＿』

ツーっ、ツーっ、ツーっ…

電話も終わり、路地裏には無機質な機械音が響き渡る

未だ携帯を片手に、壁によりかかっている男に近づく人物が一人

｢話は終わったのか？｣

声とシルエットからして男だろう

壁によりかかったままの男の隣にしゃがみこみ、地面を見つめながら

｢どーした、気分悪いのか？｣

問いかけに反応せず、じっと空間を見つめる男に再び質問を投げかけた

｢いや、なんでもない｣

｢そうか、ならいいけどよ｣

｢…よし、行くか｣

そう言いながら路地裏の奥へと歩き出した男

｢？どこに行くんだよ｣

しゃがんでいた隣の男も立ち上がり、路地裏の奥へと向かう

｢＿＿＿＿の所｣

｢は？なんで｣

｢久しぶりに顔見せなきゃだし、あいつもいるからさ｣

｢…｣

｢それに、お前も＿＿＿＿と会ってないだろ？｣

｢それは…そうだけど｣

言葉を濁らせながらも男について行く足は止めない

それほど、あの男を信頼しているのだろう

午前2時10分

2つのシルエットは、路地裏の奥へと消えていった＿＿＿＿