【文スト】月下の桜は今日も微笑む

19枚目 ページ21

死を恐れよ…殺しを恐れよ…この路地裏に響く声。
あれからちっとも変わっていない声。


懐かしいなんて思わない、今は敵だから。


「お初にお目にかかる。僕は芥川」
『いや、お初じゃないし…自己紹介なんてしなくてもいいでしょ、別に』


まさか樋口さんがポートマフィアだなんて思わなかった。それっぽい雰囲気も無いし。



多分…勘だけれど、彼女はマフィアには向いていない。




否、そんな事よりも皆をどうにかしなくては。此が、嫌な夢であってほしい。
其処でふと芥川君が云った。


「人虎は生け捕りとの命の筈！片端から撃ち殺してどうする！」


「人虎は生け捕り…？あんたたちは一体…」


じゃあ、狙いは敦君？それだったら何故、と聞こうと思ったが
羅生門がうろうろしているのでやめた。


「逃げるんだ、敦君…桜ちゃん……」
まだ話せるレベルだったら平気か。ナオミちゃんも…急がなければ。
そう思い、私が食い止めようとしたが敦君が駆け出した。


『敦君！？』
敦君は樋口さんが落とした銃で芥川君を撃つ。だが芥川君は空間断絶を使う。
敦君の補助をしようとしたが私は呆気なく樋口さんに捕まってしまった。


首を手刀で一発。うわ、やらかした。


『敦君…』
段々と暗くなっていく視界の中で敦君が虎化しているのが見えた。

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