番外編 黄色と。 ページ18
youside
いつも、シャオロンとは、コネシマと戦った後に、手合わせをしている。
シャオロンは、シャベルを自由自在に扱う。
私も、たくさんの戦場に出ているが、シャベルをを使う人なんて見たことがない。
でも、コネシマと違いシャオロンはシャベルを自分の武器だとしているので、尊敬する。
そもそも、シャベルを使う人と戦ったことがないので、戦い方が分からない。
だから、新鮮だ。
ある日の手合わせは、私が勝った。
それも、あっさりと。
普段なら、私が負けるか、五分五分なはずなのに。
だから、不安になって『今日、どうした？』と聞いてしまった。
なんにもない、と返すシャオロンが泣いているように見えた。
私は、気になって問い詰めてしまった。
これが、吉と出るか凶と出るか分からないのに。
シャオロンは、「俺は最近自分を誤魔化してしまう。自分が自分じゃないみたいだ。」と話してくれた。
しょうもないことで悩んでいるようだ。
でも、自分はどうすればいいのか分からない。
だから、咄嗟に、ポケットの中の豚のピンをニット帽に付けてあげていた。
『貴方は、貴方のままが最高だよ。』なんて臭いセリフを吐いて。
彼は、優しい。
だから、溜め込む。
そんな彼の、心の拠り所でありますように。
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shoside
このニット帽に付いているピンは、Aがくれた。
俺が、少し病んでた時だ。
もうずっと前だけどな。
ある兵士が俺のことを嫌いだと他の兵士に話しているのを聞いてしまった。
そこから、何故かみんなもそう思っているのではないか、と思ってしまった。
こんな戦争ばっかりの世界で嫌われるなんてちっぽけなことにすぎないのに。
そんなしょうもないことをAは真剣に聞いてくれた。
それから、俺は小さい子供ではないのに、豚のピンをくれた。
初めは餌付けかよと思ったが、彼女はそうする他に選択肢がなかったのだろう。
しかし、そんな頃もいい思い出だ。
さあ、これから、Aと手合わせをするかぁ。
ありがとよ。
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作者名：黒猫 | 作成日時：2020年4月25日 16時
