【五条悟】記憶喪失のフリをしたら元彼と付き合うことになった件について。 (ページ35)

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縛っている【誰か】ページ35

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恵 side

悠仁「先生！Aさんは、？！」

五条「･･･うん、今日もダメだった」

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柄にもなく落ち込みを見せる五条先生。
何時もなら罵倒するけど現実なのだから仕方ない

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恵「先生、俺行ってきます」

五条「！」

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開けてくれる保証も根拠もない。
けど、今のこの人よりかは役立てるはずだ。

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恵「随分汚しましたね」

『元々こんなだよ』

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あの人はAさんに【強いる】事をしない
何故かは知らないが断言出来る。

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恵「俺は、【外に出よう】なんて言いません」

『！』

恵「でも毎日来ます。逢いに来ます。」

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何でこうなってるか、なんて知らない。
でもこの人には、笑顔で居てほしい

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恵「なので、また開けてくださいね」

『･･･考えとく』

恵「はい、」

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話したくないなら話さなくて良い。
俺は子供でこの人は大人。
経験の差も人生の差も深く違うんだから。

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恵「(まずは、1歩だな)」

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あの日以来、
Aさんは俺だけに部屋へ入る事を許した

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恵「あれから何日経ったと思ってるんですか」

『1週間、くらい』

恵「残念、2週間です。」

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毎日、

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恵「風呂には入ってますか？」

『うん』

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毎日、

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恵「飯くらい食べてくださいっ」

『要らない。食べたくない』

恵「壁ぶち壊しますよ」

『･･･』

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気付けば閉じこもっていた日数を超え、
俺は三週間も通いつめていた。

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恵「何か、子供みたいですね」

『布団は、ブラックホールだから』

恵「何ですか、それ」

『あの人が言ってた、請け負いだけどね、』

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【誰】って、聞きたい。
貴方にそんな微笑み方をさせるのは誰かって。

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でも聞けなかった。

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少なくとも、俺達の【誰か】じゃない。
その先に居る、心を縛り付ける【誰か】。

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恵「･･･」

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向けられたAさんの背が、
何故か、とても悲しそうに見えた。