episode.96 ページ46
*
阿部side
疲れ果てて寝ている間に、照と翔太と舘さんが来てくれたらしい。
こんな姿見せて、余計な心配かけちゃったかな。
大きい病院も点滴も検査も、俺にとってはもう慣れてしまったものだけど、メンバーには見せないように感じさせないようにしてきたから、きっと驚いたと思う。
だって現に先生から「お仕事の方から阿部さんの病気について教えてほしいと言われた」なんて話をされて。
みんな気を遣って聞かずにいてくれることに甘えていたけど、メンバーは所謂会社員の同僚とかとは違う訳で、いつか話さなければならない日が来ることはどこかで覚悟していた。
先生には、自分がいない方がメンバーが話しやすいと思うから、なんてもっともらしいことを言ったけど、本音は正気でその場にいられる自信がなかっただけ。
もし、普段言えない俺に対しての不満を持っていたら。
知らず知らずのうちに負担やストレスを与えていたら。
知ってしまうのが怖い、でも、それと同時に、知らずに過ごすことはそれ以上に怖いと思った。
みんなが来ると聞いていた時間を少しすぎた頃、頭で考えるよりも先に足が向かったのは、何度も先生と話をしたあのカンファレンスルーム。
ほんの少し漏れる話し声を拾うように、壁に背中をつけてその場にしゃがみ込んだ。
『危ない目に合わせたくなくて、勝手に先回りしてしまう』
照の言葉で知った、俺の知らないところでの出来事も
『”彼のためを思って”なんて言いながらメンバー同士で喧嘩して、かえって気を遣わせてしまっている』
ラウと翔太のあの喧嘩に隠れて霞んでしまっていた優しさも
『間違った認識で彼が悲しんでいるとき、どうすることが正解か分からず助けてあげられなかった』
俺だけじゃなく、その場に居合わせためめまで傷付けてしまっていたことも
聞こえてくるみんなの言葉に、『自分だけが辛くて苦しい』なんて悲劇のヒロインにでもなったつもりでいたことに気が付いて、恥ずかしくなった。
勝手に聞き耳を立てたくせに、もう聞いていられなくて立ち去ろうとした時、先程までよりもはっきりとした声で聞こえてきたのは翔太の声。
「もう何があっても絶対に手を離さないって決めたんです。我慢はさせたくない、辛い思いもしてほしくない。僕らで力になれることは、あるんでしょうか。」
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ストロベリー - 3早く読みたいです 頑張れ〜 (2023年4月2日 21時) (
レス) id: 78d64c6e31 (このIDを非表示/違反報告)
円周率 - いつも楽しく読まさせていただいています。3のほうも読みたいと思っているのですがパスワードを教えてもらうことは可能でしょうか？ (2023年3月8日 6時) (レス) id: 6ee190949a (このIDを非表示/違反報告)
みどり - 続き気になるので、楽しみに待ってます (2022年11月26日 1時) (レス) @page45 id: 1e919caffa (このIDを非表示/違反報告)
くろ(プロフ) - いつも更新楽しみにしてます。ちゃんと他のメンバーに支えられながらライブできるといいですね、、、 (2022年7月25日 1時) (レス) @page38 id: 436e54c814 (このIDを非表示/違反報告)
あお - このお話大好きです！更新待ってます、頑張ってください！ (2021年10月13日 15時) (レス) id: b9c7362213 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しぃ | 作成日時：2021年5月23日 22時
