episode.97 ページ47
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阿部 side
自分がいなければ、背負わせることもなかった苦労。
悩ませることもなかった。
ずっとずっと、お荷物にならないようにって、そればかり考えていた。
だから、こんなにも想ってくれるみんなの気持ちが、今はとにかく、痛くて、苦しかった。
まだ面会時間も来ていない昼下がりの病棟、お年寄りばかりのこの場所はどこも閑散としていて、俺は病室までの少しの距離を逃げるように走った。
間違ってもいまみんなと顔を合わせることなんてできなかったから。
つい昨日まで、ぐったりして点滴受けていたくせに、急に走ったりなんかしたから、酸欠で頭はクラクラ、息切れは止まらなくて手足も震えてる。
やばい、勢いに任せすぎたなぁ、なんてどこかで冷静にそんなことを思いながらベッドに腰掛けた。
暑くもないのに汗が止まらなくて、息が整わなくて、全身から力が抜けていく感覚が気持ち悪い。
具合が悪かったとはいえ、体力と筋力ってこんなに簡単に落ちちゃうんだ。
そんなことを考える頃にはもう座位を保っていられなくて、倒れるようにベッドに横たわっていた。
あまりの気分の悪さにふーっと意識が遠のいていく感覚の中で、聞き慣れたメンバーの声で名前を呼ばれるのが少しだけ耳に届いた。
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All side
“何が辛いかは人それぞれですから、私が理解しきれていない辛さだってきっと患者さんにはあると思うんです”
「なので、絶対にこう、というのは…すみません。」
俺らは指示のような答えが欲しかったのだと思う。
でもお医者さんから返ってきた言葉は期待していたものとは全然違かった。
どこかで分かってはいたんだけど、やっぱり人に答えを求めるようなことじゃないんだよな。
阿部ちゃんが退院して戻ってきたらみんなでまた話し合う？
だけどそれがまた傷付けてしまう原因になったら、そう思うと何が正解か分からなかった。
とりあえず、今日のところは少し顔を見て帰ろうか。
なんとなくどんよりしていた空気を振り払ってくれたのは、病院には似つかわしくない佐久間の『あべちゃーん！！』って声。
返事は無かったけど、寝てるのか、留守なのか。
失礼しまーすと一声掛けて踏み入れた先には、真っ青な顔でベッドに上半身を預けて苦しそうに顔を顰める阿部ちゃん。
また、知らない彼の姿だった。
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ストロベリー - 3早く読みたいです 頑張れ〜 (2023年4月2日 21時) (
レス) id: 78d64c6e31 (このIDを非表示/違反報告)
円周率 - いつも楽しく読まさせていただいています。3のほうも読みたいと思っているのですがパスワードを教えてもらうことは可能でしょうか？ (2023年3月8日 6時) (レス) id: 6ee190949a (このIDを非表示/違反報告)
みどり - 続き気になるので、楽しみに待ってます (2022年11月26日 1時) (レス) @page45 id: 1e919caffa (このIDを非表示/違反報告)
くろ(プロフ) - いつも更新楽しみにしてます。ちゃんと他のメンバーに支えられながらライブできるといいですね、、、 (2022年7月25日 1時) (レス) @page38 id: 436e54c814 (このIDを非表示/違反報告)
あお - このお話大好きです！更新待ってます、頑張ってください！ (2021年10月13日 15時) (レス) id: b9c7362213 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しぃ | 作成日時：2021年5月23日 22時
