episode.94 ページ44
*
渡辺side
打ち合わせが終わって、その後は仕事が入ってなかった３人で阿部ちゃんの病院に来た。
俺と、照と、涼太。
本当はめめとラウールの方が良くわかってて良いんじゃないか、佐久間と康二だったら明るく元気付けられるんじゃないか、ふっかは落ち着いて話しやすいんじゃないか、色々思ったけど来れたのはこの３人だったわけで。
みんなそれぞれ思うことがあってか、向かう道中の言葉数は少なかった。
後退りしてしまいそうなほど大きくて見慣れない総合病院で、病棟に足を踏み入れたらあちこちから聞こえるけたたましいモニター音。
忙しなく行き交う看護師さん、外の世界では滅多に嗅ぐことのない独特な消毒の匂い。
分かっていたはずなのに、どうして阿部ちゃんはこんなところにいるんだっていう気持ちで頭の中がぐちゃぐちゃになった。
到着したと言えば良いか、来てしまったと言えば良いか、俺たちは阿部ちゃんの病室の前まで辿り着いた。
ふぅっと息を吐いてから扉に手をかけると、目線の先には点滴を確認する看護師さんとお医者さん。
申し訳程度の会釈をして足速にベッドに駆け寄ると、血色感を失った顔で目を閉じてる阿部ちゃんがいた。
あまりにも見慣れないその姿に、俺は、阿部ちゃんが死んでしまうかもしれないと思った。
けど、そんな俺の焦りとは裏腹に、お医者さんは落ち着いた様子で声をかけてくれた。
医「お疲れだったようですね。今はお休みになられてるだけなので、心配いりませんよ。」
意識が無いとかじゃなくてただ寝てるだけですよって言われても、長い付き合いのなか一度も見たことがなかったこんな姿を見せられて、正気でいられる訳がなかった。
柄にも無い、なんて言われそうだけど、居ても立ってもいられなくて、ベットサイドにしゃがんで阿部ちゃんの手を握った。
点滴をしているからだと分かってはいても、氷のように冷たい手は触れているだけで怖くなった。
「…こんなになるまで、いつから無理してたんだよ。」
そう呟くと、お医者さんが隣に来て話始めた。
医「この病気の患者さんでは、よくある事と言いますか、あまり珍しいことでは無いんですよ。
疲れなどは溜まってらしたかもしれませんが、恐らくこうなったのはここ１日２日ではないかと思います。
だから皆さんも、あまり思い詰めないで。」
よくある事、その言葉がやけに引っかかって、俺は病室を出て行ったお医者さんの後を追った。
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ストロベリー - 3早く読みたいです 頑張れ〜 (2023年4月2日 21時) (
レス) id: 78d64c6e31 (このIDを非表示/違反報告)
円周率 - いつも楽しく読まさせていただいています。3のほうも読みたいと思っているのですがパスワードを教えてもらうことは可能でしょうか？ (2023年3月8日 6時) (レス) id: 6ee190949a (このIDを非表示/違反報告)
みどり - 続き気になるので、楽しみに待ってます (2022年11月26日 1時) (レス) @page45 id: 1e919caffa (このIDを非表示/違反報告)
くろ(プロフ) - いつも更新楽しみにしてます。ちゃんと他のメンバーに支えられながらライブできるといいですね、、、 (2022年7月25日 1時) (レス) @page38 id: 436e54c814 (このIDを非表示/違反報告)
あお - このお話大好きです！更新待ってます、頑張ってください！ (2021年10月13日 15時) (レス) id: b9c7362213 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しぃ | 作成日時：2021年5月23日 22時
