episode.55 ページ5
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渡辺side
この２週間があっという間だったか、それとも長く感じたかは、正直よく分からない。
ひとつ言えるのは、阿部のこと、グループのこと、毎日そればかり考えて過ごしていた。
間違いなく引き金を引いたのは俺で、俺がもっと冷静になれていたら防げたこと。
阿部が何かに苦しんでるのは当然気付いていたのに、目黒が言った通りだ、大人気ない感情で八つ当たりして追い込んでしまった。
面と向かって謝りたくて、電話もLINEもせず今日まで来てしまったこと、阿部はどう受け取っているだろうか。
呆れられてるか、心を閉ざされたか、それとも、もう俺のことなんてどうでもいいか。
そんなことをぐるぐると考えていたら、いてもたってもいられなくなり、マネージャーの迎えを断って予定よりも早く家を出た。
集合時間よりずっと早くに足を踏み入れたいつもの稽古場は、当然のことながら薄暗くシーンとしていた。
歌舞伎のキツい稽古も、毎回楽しくて仕方ないYouTubeの撮影も、ワクワクする振り入れも、他にももっと、ここにはずっと昔からたくさんの思い出が詰まってる。
阿部は、メンバーは、今日どんな気持ちでここに来るんだろう。
部屋の隅にある椅子に腰掛けて、何をするでもなく、ただ何度も何度も深く大きなため息が溢れた。
暫くしてから少しずつ集まり出したメンバーもやっぱり言葉は少なくて、いつもうるさい佐久間でさえも今日は頬杖をついてスマホを眺めていた。
どんなに大きな仕事のときよりも、心臓がバクバクとうるさい。
いつもどんな風に振舞っていたかも忘れてしまうくらい余裕の無さがピークに達した時、最後のひとりが現れた。
阿「、、ぉはよう、ございます、、」
遠慮がちに少し開けたドアから顔を覗かせたのは、あの日俺が深く傷つけてしまった彼。
「、あべ、、」
１番に声をかけようとしたのを遮ったのは、今までと何一つ変わらない爽やかな笑顔で阿部を招き入れる目黒の声だった。
目「阿部ちゃん、おはよう！早くこっちおいでよ！」
入り口でどこか入りづらそうにしている阿部に声をかける目黒はとても落ち着いていて、焦るだけの自分が恥ずかしくなった。
阿「あのさ、少しだけ、いい？」
やっと揃った９人で机を囲むと、阿部が話を切り出した。
みんなが背筋を正して座り直す姿をみて、そんなに畏まらないでよとはにかんだ阿部は、いつもの笑顔だった。
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ストロベリー - 3早く読みたいです 頑張れ〜 (2023年4月2日 21時) (
レス) id: 78d64c6e31 (このIDを非表示/違反報告)
円周率 - いつも楽しく読まさせていただいています。3のほうも読みたいと思っているのですがパスワードを教えてもらうことは可能でしょうか？ (2023年3月8日 6時) (レス) id: 6ee190949a (このIDを非表示/違反報告)
みどり - 続き気になるので、楽しみに待ってます (2022年11月26日 1時) (レス) @page45 id: 1e919caffa (このIDを非表示/違反報告)
くろ(プロフ) - いつも更新楽しみにしてます。ちゃんと他のメンバーに支えられながらライブできるといいですね、、、 (2022年7月25日 1時) (レス) @page38 id: 436e54c814 (このIDを非表示/違反報告)
あお - このお話大好きです！更新待ってます、頑張ってください！ (2021年10月13日 15時) (レス) id: b9c7362213 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しぃ | 作成日時：2021年5月23日 22時
