episode.54 ページ4
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目黒side
根拠はないけど、拒否されない自信があった。
ひとりきりで悩む時間を少しでも減らしてあげたくて、退院の日迎えに行かせてと連絡した。
２週間近く顔を合わせてなくて、しかも最後に会った時は散々な状況だったみたいだから、いくら阿部ちゃんが悪くなくたって復帰でいきなり全員と顔を合わせるのはキツいだろうと思ったっていうのもある。
まぁ、ほとんど俺のエゴなんだけど。
相変わらずすぐについた既読に、
『ありがとう。よろしくお願いします。』と。
自信があったとは言え、その返事を見て内心すごく安心した。
あれ以来、全員で集まって話こそできていないけど、各々とは本当に色んな話をした。
俺だけじゃなくて、他のメンバー同士も色々話したんじゃないかな。
その中でも、なんでか電話に出てもらえたのもLINEが返ってきたのも俺だけのようで、まだ完全に閉ざされたわけではない心を絶対に守ってみせると誓った。
忙しい日々は、俺たちの心なんか気遣ってくれるはずもなく、その日はあっという間にやってきた。
必要最低限の短いLINEで伝えられた待ち合わせ場所は、病院の目の前の小さな公園。
病院にいる姿を見られたくなかったんだろうな。
待たせないようにって早めに着いたつもりだったのに、そこにはもう阿部ちゃんの姿が。
待たせてごめんね、名前を呼ぶと、いつもより覇気のない笑顔でこちらを振り向いた。
両手いっぱいに抱えた荷物の中には、ただの風邪とかで処方されるような量とは思えないくらい沢山の、いわゆる「薬局の袋」が覗いていた。
駅に向かう道中も、会話は殆どない。
無理に喋らせるつもりはなかったし、阿部ちゃんが喋らないなら俺も無理に取り繕おうとは思わなかった。
無言のまま辿り着いた駅のホーム。
見送れるのはここまで。
あいにく俺はこの後仕事があって、阿部ちゃんが家に帰るのとは逆の電車に乗らなくてはいけない。
目の前のホームに電車が侵入してきたのと同時に、阿部ちゃんは視線を真っ直ぐホームに向けたまま口を開いた。
『めめ、ここに_____________________かな…？』
電車の音にかき消されて大事なところが聞き取れない。
目の前の阿部ちゃんは、消えてしまいそうなくらい儚く見えた。
次の瞬間、咄嗟に言葉が出なくて立ち尽くす俺に、さっきまでとは別人のようなアイドルスマイルを向けた。
「今日はありがとね、また明日ね！」
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ストロベリー - 3早く読みたいです 頑張れ〜 (2023年4月2日 21時) (
レス) id: 78d64c6e31 (このIDを非表示/違反報告)
円周率 - いつも楽しく読まさせていただいています。3のほうも読みたいと思っているのですがパスワードを教えてもらうことは可能でしょうか？ (2023年3月8日 6時) (レス) id: 6ee190949a (このIDを非表示/違反報告)
みどり - 続き気になるので、楽しみに待ってます (2022年11月26日 1時) (レス) @page45 id: 1e919caffa (このIDを非表示/違反報告)
くろ(プロフ) - いつも更新楽しみにしてます。ちゃんと他のメンバーに支えられながらライブできるといいですね、、、 (2022年7月25日 1時) (レス) @page38 id: 436e54c814 (このIDを非表示/違反報告)
あお - このお話大好きです！更新待ってます、頑張ってください！ (2021年10月13日 15時) (レス) id: b9c7362213 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しぃ | 作成日時：2021年5月23日 22時
