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episode.53 ページ3

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阿部side





気が付けば、入院してから10日が経っていた。


点滴のおかげで3日目くらいには怠さもとれて、なかなか安定しなかった数値も今はだいぶ落ち着いている。





『明日一日調子が良かったら、明後日退院して大丈夫だよ』





つまらない入院生活の終わりが見えて嬉しいはずなのに、引きつった笑顔しか浮かばないのは、心の回復がどうしても追いつかなかったから。





こんなに離れればみんなに会いたくなるんじゃないか。

こんなに休めば現場に行きたくてたまらなくなるんじゃないか。

こんなに時間があれば、何かが変わると思った。






でも、病室のベッドの上でただ過ぎて行った10日間は、当たり前だけど何も解決はしてくれなかった。






結局、自分はどうするべきなのか、みんなにどう伝えたらいいのか、はっきりとした答えは出せていない。






ずるいのは分かってるけど、みんなの反応を見て考えたい、今はまだ、そこまでしか決められなかった。






退院したら、次の日からすぐに仕事に戻る。




先生には、復帰はもう少し体力が戻るのを待ったほうが良いんじゃないかと言われたけど、答えを出すなら早いほうがいいと思って。



自分ひとりでは決められないくせに、そういうところはやけに冷静なんだよな、なんて他人事のように考えた。



でも、どんな顔をしてみんなに会ったら良いのか、どんな言葉で伝えようか、それだけは考えても考えても何が正解か分からなかった。



現に、仕事復帰の連絡も、どうしても自分から言えなくて、社会人失格だなぁと思いつつも、マネージャーから知らせてもらった。



だって、怖いんだもん。どんな反応されるかなとか、既読無視無視されたらどうしようとか、考えるだけで胃がキリキリする。




家族以外は誰からも連絡の入らなくなったスマホをボーッと眺めていると、久しぶりに目にした通知に少しドキッとした。





送り主は目黒蓮。





あの日の電話以来、とくに連絡は取っていなかった。

きっと、マネージャーから伝わったのだろう。




『 1人で帰すの心配だから、退院の日迎えに行っても良いですか? 』




今の精神状態、本当だったら誰の歩み寄りも拒否するところだけど、すんなり受け入れてしまうのは何故だろう。


年下なのに、頼ってみようと思ってしまう、めめの不思議な力なんだよね。





「ありがとう。よろしくお願いします。」

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ストロベリー - 3早く読みたいです  頑張れ〜 (2023年4月2日 21時) (レス) id: 78d64c6e31 (このIDを非表示/違反報告)
円周率 - いつも楽しく読まさせていただいています。3のほうも読みたいと思っているのですがパスワードを教えてもらうことは可能でしょうか? (2023年3月8日 6時) (レス) id: 6ee190949a (このIDを非表示/違反報告)
みどり - 続き気になるので、楽しみに待ってます (2022年11月26日 1時) (レス) @page45 id: 1e919caffa (このIDを非表示/違反報告)
くろ(プロフ) - いつも更新楽しみにしてます。ちゃんと他のメンバーに支えられながらライブできるといいですね、、、 (2022年7月25日 1時) (レス) @page38 id: 436e54c814 (このIDを非表示/違反報告)
あお - このお話大好きです!更新待ってます、頑張ってください! (2021年10月13日 15時) (レス) id: b9c7362213 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:しぃ | 作成日時:2021年5月23日 22時

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