episode.78 ページ28
*
岩本side
まさか、俺と吉野さんの会話を聞いていたなんて。
何も言えなかったあの時の俺を見て、阿部は何を思っただろう。
助けてくれなかった、守ってくれなかった、またそんな気持ちにさせてしまったのではないだろうか。
もう絶対に傷つけないって約束したくせに。
「阿部、ごめん、俺っ、」
上手い言い訳をしたい訳じゃない。
釈明したい何かがあるわけでもない。
ただ、何も言えなかったことをまずはとにかく謝りたかった。
でも阿部は、またあの時みたいに責めもせず、優しく微笑んで首を横に振った。
「え、、」
阿「俺さ、食べる時は絶対注射必要でしょ？よく動いたりすると震えたりフラフラしたりしちゃうこともあるし。何かあったら責任取れない、って。」
あまりに落ち着いた物言いに、阿部はこの現状を諦めてしまったのではないかと感じた。
それを思ったのは俺だけではなかったようで、
宮「阿部はそれでいいの？」
舘さんの言葉に、ちょっと空気がピリついた。
でも、
阿「、、良いわけないよ」
笑みを浮かべたように見える顔は目が少しも笑っていなくて、本気の時の顔をしていた。
阿「けど、みんなに迷惑かけるかもしれない。
もしかしたら偉い人に、『何生意気なこと言って』って、最悪俺のせいで干されるかもしれない…だけど…」
怖い、のか…？
「阿部がもし怖いな、不安だなって思うなら、俺ら別に無理強いしないよ？」
阿「っ、そうじゃなくて、、！
やりたいの…
病気だからって、思われたくないし、思いたくないの。
全部、自己責任だと思ってるから、何かあっても誰のせいとか思わないし。
ただ、いくら自己責任って言っても、具合が悪くなって、自分だけじゃどうしようもなくなる可能性はゼロじゃないから…
この先ずっとこういう状況にみんなを巻き込むかもしれないと思うと、俺のやりたいだけじゃ、…」
『別に良いんじゃない？』
考える前に口から溢れた言葉はちょっと冷たく聞こえたかな。
「いや、変な意味じゃなくて、やりたいなら、やろうよ。
俺たちは代わりに病気のしんどさもらったりは出来ねえけど、阿部が病気と生きていくようにさ、そんな阿部と一緒に生きていくのは俺らも同じじゃない？」
視線の先に写る阿部は、ポロポロと涙を溢しながら笑ってた。
「お前は最近泣き過ぎ。笑」
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ストロベリー - 3早く読みたいです 頑張れ〜 (2023年4月2日 21時) (
レス) id: 78d64c6e31 (このIDを非表示/違反報告)
円周率 - いつも楽しく読まさせていただいています。3のほうも読みたいと思っているのですがパスワードを教えてもらうことは可能でしょうか？ (2023年3月8日 6時) (レス) id: 6ee190949a (このIDを非表示/違反報告)
みどり - 続き気になるので、楽しみに待ってます (2022年11月26日 1時) (レス) @page45 id: 1e919caffa (このIDを非表示/違反報告)
くろ(プロフ) - いつも更新楽しみにしてます。ちゃんと他のメンバーに支えられながらライブできるといいですね、、、 (2022年7月25日 1時) (レス) @page38 id: 436e54c814 (このIDを非表示/違反報告)
あお - このお話大好きです！更新待ってます、頑張ってください！ (2021年10月13日 15時) (レス) id: b9c7362213 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しぃ | 作成日時：2021年5月23日 22時
