episode.69 ページ19
*
渡辺side
どんな顔をしてあの場にいて良いのか分からなくなって、ひとりで外に出てきてしまった。
『俺らにだって出来ることあるんだから、勝手にいなくなろうとすんな』
自分で言っておいてなんだけど、どの口が言ってんだ。
人気の無い屋外のベンチに腰掛けてふうっと息を吐くと、思い出されるのはあの日の言葉。
“ いつまでだらだら引きずってんの？”
“ 俺らが気遣ってやってんのにお前がちゃんとしないのってルール違反だと思わねえ？”
自分から発せられたとは思いたくもない。
思い出すたび全身に鳥肌が立って、胸が苦しくなる。
『一生治らない』そう診断を受けたばかりの彼にとって、どれだけ残酷な言葉だっただろうか。
あんなこと言わなければ、阿部ちゃんを苦しめずに済んだのに。
それに、俺が “ だらだら引きずってる “と言った彼の不調だって、もっと気に掛けていれば何かおかしいことくらい気が付けたはずだ。
余裕が無かったとかイライラしていたとか、そんなことは都合の良い言い訳。
この期に及んで言い訳なんてするつもりもないんだけどさ。
優しい阿部ちゃんは、俺がさっき掛けた虫の良すぎる言葉にも『ありがとう』って返してくれたけど、彼の優しさに甘えて許してもらおうだなんて、そんなの、絶対、
「っ、、おれっ、もう、、どーしよ、、」
頭を抱えて思わず漏れてしまった声。
宮「翔太？こんなところにいたの？」
顔を上げると、涼太が目の前に立っていた。
情けなくも一人で抱えきれなくなった俺は、涼太に全てを打ち明けた。
あの日掛けてしまった言葉の数々、それが阿部ちゃんを深く傷付け苦しめたこと。
自分が悪いのはわかっているけど、だからこそ謝っただけで許されるとは思えなくて、どうしたら良いか分からなくなってしまったこと。
「俺、ルール違反って、言った。」
宮「ルール違反？」
「俺たちは阿部ちゃんに気遣ってやってんのに、いつまでも体調不良引きずって、管理ができないのは、ルール違反だ、って…」
「…だから、俺があんなこと言っちゃったから。俺のせいだから、だから、、」
ひたすらに自分を責めることでしか気持ちを保てなくなっていると、返ってきたのは予想外の言葉だった。
宮「それは違うよ。」
「え？」
宮「翔太だけじゃない。というか、そもそもの引き金を引いちゃったのは俺だった、多分。」
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ストロベリー - 3早く読みたいです 頑張れ〜 (2023年4月2日 21時) (
レス) id: 78d64c6e31 (このIDを非表示/違反報告)
円周率 - いつも楽しく読まさせていただいています。3のほうも読みたいと思っているのですがパスワードを教えてもらうことは可能でしょうか？ (2023年3月8日 6時) (レス) id: 6ee190949a (このIDを非表示/違反報告)
みどり - 続き気になるので、楽しみに待ってます (2022年11月26日 1時) (レス) @page45 id: 1e919caffa (このIDを非表示/違反報告)
くろ(プロフ) - いつも更新楽しみにしてます。ちゃんと他のメンバーに支えられながらライブできるといいですね、、、 (2022年7月25日 1時) (レス) @page38 id: 436e54c814 (このIDを非表示/違反報告)
あお - このお話大好きです！更新待ってます、頑張ってください！ (2021年10月13日 15時) (レス) id: b9c7362213 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しぃ | 作成日時：2021年5月23日 22時
