episode.68 ページ18
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ALLside
身体を小さく折りたたんで、ソファにくたっと横になる阿部ちゃんは、あまり顔色が良くない。
複雑そうな顔つきで佇んでいる佐久間と、机の上に転がったままの見慣れない注射器や測定器。
岩「佐久間、ありがとうな。」
そう声を掛けても佐久間の表情は晴れない。
佐「佐久間さん、気の利いたこと何にも言えなかったなあ。」
そこにいつもの明るさはなくて、しょんぼりとした顔で阿部ちゃんのことを見つめてた。
深「俺らでもそうなるよ。」
向「難しいよなあ、、」
ぽつりぽつりと言葉を漏らしながら、阿部ちゃんを囲うようにみんなでソファに腰掛けた。
ラ「…一生、なんだもんね、、」
阿部ちゃんが抱えている苦しさに比べたら、俺らがそんなこと言ってられないんだけど、やっぱり現実として受け止めるのは容易いことではなくて、とにかく冷静さを失わないように努めるのが精一杯だった。
目「何があっても、俺たち8人は、絶対に味方でいようよ。」
いつもと変わらない真っ直ぐな眼差しでそう言い放っためめ存在が、とても大きくて逞しく見えた。
その一方で、いちばん遠いところに座った翔太は、阿部ちゃんをただじっと見つめながら、心ここに在らずといった様子で佇んでいた。
向「しょっぴーどないしてん?」
康二が気付いて声を掛けても、はぐらかされてまた黙り込んでしまう。
照「翔太も、体調悪りぃなら無理すんなよ。」
渡「ごめん、そういうんじゃないから、大丈夫。」
“ ちょっと外の空気吸ってくるわ “
そう言って翔太は部屋を出て行ったけど、止めることも追いかけることもしなかったのは、みんななんとなくその気持ちが分かったから。
暫くして阿部ちゃんが目を覚ますと、メンバーに囲まれてるこの状態に驚きつつも笑ってた。
阿「ごめんね、もう大丈夫!」
顔色もだいぶ良くなってて、無理して言ってるわけじゃないんだろうと思うから安心した。
ゆっくり体を起こすと、メンバーが揃っている前で、徐に測定器を手に取った。
ピッと音を立てて示す数値は、さっきよりだいぶ下がっていたようだけど、佐久間に告げていた『普通の人』の数値からはやはりかけ離れていた。
敢えてみんなの前で数値を測る阿部ちゃんも、それを見て「だいぶ下がったね」って声を掛ける佐久間も、いつもと変わらない空気で見守ろうとするメンバーも、みんな必死で向き合おうとしていた。
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ストロベリー - 3早く読みたいです 頑張れ〜 (2023年4月2日 21時) (レス) id: 78d64c6e31 (このIDを非表示/違反報告)
円周率 - いつも楽しく読まさせていただいています。3のほうも読みたいと思っているのですがパスワードを教えてもらうことは可能でしょうか? (2023年3月8日 6時) (レス) id: 6ee190949a (このIDを非表示/違反報告)
みどり - 続き気になるので、楽しみに待ってます (2022年11月26日 1時) (レス) @page45 id: 1e919caffa (このIDを非表示/違反報告)
くろ(プロフ) - いつも更新楽しみにしてます。ちゃんと他のメンバーに支えられながらライブできるといいですね、、、 (2022年7月25日 1時) (レス) @page38 id: 436e54c814 (このIDを非表示/違反報告)
あお - このお話大好きです!更新待ってます、頑張ってください! (2021年10月13日 15時) (レス) id: b9c7362213 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しぃ | 作成日時:2021年5月23日 22時