episode.65 ページ15
*
阿部side
今この瞬間まで、俺は何のために苦しんで苦しんで隠し続けていたのだろう。
そんなふうに思ってしまうくらい、呆気なかった。
でもその一方で、もう隠さなくても良いんだと、安心している自分もいた。
涙が止まらないのはきっとそういうことなんだと思う。
「、、もう、、Snow Manに、いられないかも、って、、いちゃいけないって、、でも、ひとりじゃ答え、出せなくって、、」
考えるより先に、一番に口から出たのはそれだった。
あの日、朦朧とする意識の中で見た８人の滝沢歌舞伎。
その時からずっと、それが怖くて堪らなかったんだ。
ずっと優しく背中を摩り続けてくれていた手がぴたりと止まったかと思えば、聞こえてきたのは、
渡「、、ひとりで答えなんか出すなよ、」
「え、、」
渡「、その、、、まだ、病気のこととか、よく分かんないこともあるけど、ちゃんと知ったら、俺らにだって出来ることあんじゃん、、だから、勝手にいなくなろうとすんな、」
岩「そうだよ、翔太の言う通りだから」
目「いてくれなきゃ困るよ、」
俺は今まで、何を躊躇っていたんだろう。
「、、ありがとうっ、、」
そう言うと、隣にいる照がおもむろに俺の左手を取った。
驚いて顔を上げると目が合って、
『気が付いてやれなくてごめん』
そっと袖を捲り上げられた。
当然露わになったのは、赤黒く腫れた痛々しいそれ。
言い訳なんていくらでも出来たはずなのに、真っ直ぐな照の目を見ていたら、これまであれほど重ねてきた嘘を、もう吐くことはできなかった。
岩「…痛かったよな、ごめんな、」
違う、みんなのせいじゃない、黙って首を横に振る。
岩「、阿部、、」
諭すような声で、そして、大きな痣を優しく手で覆った。
岩「あれだけ傷つけておいて、今更虫がいいにも程があるのは分かってる。
許してもらえなくても仕方ないとも思ってる。
だけど、阿部が必要だって気持ちは、本当に本当だから。
次に同じことをしたらそれはお前を失う時だと思ってる。
だから、もう一人で抱えんな。」
どんどん解れていく心に言葉が追いつかなくて、ただ涙がぼろぼろと溢れてくる。
対角に座っていたはずのラウールもいつのまにかそばにいて、大きな手で優しく肩を抱いてくれていた。
泣いてばかりいた末っ子は、いつのまにかこんなにも逞しくなっていたんだね。
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ストロベリー - 3早く読みたいです 頑張れ〜 (2023年4月2日 21時) (
レス) id: 78d64c6e31 (このIDを非表示/違反報告)
円周率 - いつも楽しく読まさせていただいています。3のほうも読みたいと思っているのですがパスワードを教えてもらうことは可能でしょうか？ (2023年3月8日 6時) (レス) id: 6ee190949a (このIDを非表示/違反報告)
みどり - 続き気になるので、楽しみに待ってます (2022年11月26日 1時) (レス) @page45 id: 1e919caffa (このIDを非表示/違反報告)
くろ(プロフ) - いつも更新楽しみにしてます。ちゃんと他のメンバーに支えられながらライブできるといいですね、、、 (2022年7月25日 1時) (レス) @page38 id: 436e54c814 (このIDを非表示/違反報告)
あお - このお話大好きです！更新待ってます、頑張ってください！ (2021年10月13日 15時) (レス) id: b9c7362213 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しぃ | 作成日時：2021年5月23日 22時
