episode.62 ページ12
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阿部side
復帰早々飛ばし過ぎたかな。
２週間近い安静で落ちまくった体力に気疲れも相まって、家に帰るともう動けないくらいヘトヘトだった。
“ 治るんだよね？ “
なんの悪気もないメンバーの言葉でさえも敏感すぎる今の心を逆撫でた。
あの時と同じ、自分ではもうどうにもできない感情の波に飲み込まれ、涙が次々溢れてくる。
ほんのちょっと残った理性で、大声をあげて泣き叫べば少しすっきりするかなと思ったけど、そう上手くいくはずもなく、気付けば今度はテレビのリモコンを握り締めていた。
自分でも聞いたことのないような自分の泣き叫ぶ声、自分の身体から出ているとは思えない、打ちつけるたび響くガンガン鈍い音。
腫れて熱を帯び始めてるのが分かっても、薄っすら黒く変色してるのが見えても、その手を止めることができなかった。
「、、っ、、もう、、やだ、、いたいっ、、いたい、、っ、」
ようやく我にかえった時には、殴り続けた俺の腕はぶつけたり転んだなんて言い訳では誤魔化せないほど酷い色をしていた。
全てが限界を超えてしまった俺は、そのままベッドに倒れ込んだ。
逃げ出すように治療放棄して入院になったって、やっぱり何ひとつ変わらなくて、どこかで何かを打破しなければ、永遠にこの状況が変わることはない。
何もしないまま、気付くと時刻は日付が変わる直前。
明日が来るのがこんなに怖いことなんてなかった。
もう、いっそ消えてしまいたい。
夜が深くなるにつれて俺の心もどんどん闇に飲まれていくところに、スマホに光る通知が目に入った。
照からだった。
『明日の朝もう一回みんなで話そう。
阿部の辛いこと、俺らに教えてほしい。』
とたんに心臓が早鐘を打つ。
正直ちゃんと話せるか分からないし、自信なんてものは少しもない。
でも、ここでメンバーの歩み寄りを拒絶したら、いよいよ俺は元に戻れなくなってしまうかもしれないということだけは本能が感じ取った。
「分かった。」
照からのメッセージにそう一言だけ返すと、お風呂もご飯も済ませていないのに吸い込まれるように眠りに落ちた。
もちろん、何があっても必ず打てと言われている夜の注射さえも打ち忘れたまま。
寝苦しさから嫌な夢を見た。
夢の中でも、俺は病気だった。
目を覚ましたあの瞬間の絶望感は、きっと忘れない。
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ストロベリー - 3早く読みたいです 頑張れ〜 (2023年4月2日 21時) (
レス) id: 78d64c6e31 (このIDを非表示/違反報告)
円周率 - いつも楽しく読まさせていただいています。3のほうも読みたいと思っているのですがパスワードを教えてもらうことは可能でしょうか？ (2023年3月8日 6時) (レス) id: 6ee190949a (このIDを非表示/違反報告)
みどり - 続き気になるので、楽しみに待ってます (2022年11月26日 1時) (レス) @page45 id: 1e919caffa (このIDを非表示/違反報告)
くろ(プロフ) - いつも更新楽しみにしてます。ちゃんと他のメンバーに支えられながらライブできるといいですね、、、 (2022年7月25日 1時) (レス) @page38 id: 436e54c814 (このIDを非表示/違反報告)
あお - このお話大好きです！更新待ってます、頑張ってください！ (2021年10月13日 15時) (レス) id: b9c7362213 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しぃ | 作成日時：2021年5月23日 22時
