episode.76 ページ26
*
阿部side
彼と話をしていて、分かったことがある。
『何かあったら責任取れない』そう言われたことは、今回が初めてではないということ。
その度にしっかり自分の口で説明して理解を得てきたそうだ。
夢「明日のコンテスト、すごいんだ。」
今まで出たことのあるものとはレベルが違うもので、『もし万が一』、それが絶対に起きてはいけない舞台であることは夢人くんもよく理解しているようだった。
夢「出たいし、悔しいの。でもね、僕が先生でも多分止めると思う。だから、次は絶対に出させてもらえるように、僕ももっと頑張らないといけないんだ。」
“ わかってあげられる “ そんな気持ちで声を掛けた自分が恥ずかしくなった。
更に彼はこう続けた。
夢「僕ね、こんな病気に人生めちゃくちゃにされてたまるか！って思ってるの。」
まだ11歳、俺よりひと回り以上も歳下だなんて思えないくらい、その言葉には彼が乗り越えてきた強さを感じた。
なんか俺のほうが元気もらっちゃったね、そう伝えると、夢人くんは少し恥ずかしそうに笑った。
小さな手に、手渡された沢山の医療品を抱えて帰っていく夢人くんの背中を見て、俺も強くならなきゃ、そう思った。
「先生、俺、ポンプやってみたいです。」
発症してから今まで、言われるがままに注射を打って、正直自分の意思ではきちんと向き合っていなかった気がする。
同じ気持ちを分かち合う仲間との出会いは、ほんの数分で俺の背中をぐんと押してくれたんだ。
先「お、珍しく前向きだねえ。」
メンバーにも家族にも見せられなかった本当の気持ちを、先生達だけはずっと知っていてくれたから、そう言って優しく笑ってくれたのが嬉しかった。
やると決めれば話は早くて、１週間後にはお腹から伸びるカニューレとトランシーバーのような小さな機械が俺の命を繋ぐものとなった。
看「どう？」
「ん〜、なんか、よくわからない、変な気分です…」
別に嬉しいわけではない。
でも、自分で決めたことだから嫌々でもない。
強くなるって決めたのに、まだ病気を受け入れられていないという相反する気持ちがあるから、今の気持ちを上手く言葉にできなかった。
でも、
看「こうしてみようって、自分で考えられるだけで本当に偉いよ、がんばってる」
またこうやって、強い味方が背中を押してくれるんだ。
明日、ちゃんと言おう。
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ストロベリー - 3早く読みたいです 頑張れ〜 (2023年4月2日 21時) (
レス) id: 78d64c6e31 (このIDを非表示/違反報告)
円周率 - いつも楽しく読まさせていただいています。3のほうも読みたいと思っているのですがパスワードを教えてもらうことは可能でしょうか？ (2023年3月8日 6時) (レス) id: 6ee190949a (このIDを非表示/違反報告)
みどり - 続き気になるので、楽しみに待ってます (2022年11月26日 1時) (レス) @page45 id: 1e919caffa (このIDを非表示/違反報告)
くろ(プロフ) - いつも更新楽しみにしてます。ちゃんと他のメンバーに支えられながらライブできるといいですね、、、 (2022年7月25日 1時) (レス) @page38 id: 436e54c814 (このIDを非表示/違反報告)
あお - このお話大好きです！更新待ってます、頑張ってください！ (2021年10月13日 15時) (レス) id: b9c7362213 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しぃ | 作成日時：2021年5月23日 22時
