episode.50 ページ50
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目黒side
忙しさを言い訳にするつもりなんてない。
あんなことを言っておきながら、俺は阿部ちゃんを守ってあげられなかった。
情けなくて、不甲斐なくて、『ひとりになりたい』そう訴える阿部ちゃんを、言葉通りに放っておくことなんて出来なかった。
人目につかない影のベンチに腰掛けて、彼の名前をタップする。
しつこいと怒られたっていい、うざがられたっていい。
目を閉じて、ひたすらに鳴り続ける呼び出し音を聞いていた。
きっと数分しか経っていないはずなのに、その時間が永遠にも感じられた。
やっぱり声なんて聞きたくないか。
そう思った時だった。
『 っ、もしもし、めぐろ、、』
聞きたかった声。
言いたいことがいっぱいあった。
気付いてあげられなくてごめん、助けてあげられなくてごめん、体調は大丈夫なの、、、
もっと、もっと。
だけど、今はそれを全部飲み込んだ。
溢れそうになる涙もぐっと堪えた。
だって、阿部ちゃんの方がきっと何倍も泣きたいはずだから。
「電話、出てくれてありがとう。
ずっと切らずにしつこかったよね、ごめんね。」
阿「、、っ、んん、こっちこそ、すぐ出れなくて、ごめん。」
「ねぇ、今はまださ、何も聞かないけど、
俺さ、阿部ちゃんのこと、守ってあげたいって言ったの、忘れてないから。
だから、心配しないで、ちゃんと、帰ってきてよ。」
どうしても伝えたかったことだけを、ゆっくりと、言葉を選びながら伝える。
スピーカーの向こうから、微かに鼻をすする音が聞こえた気がした。
阿「めぐろ、、ありがとう。」
それだけ話すと、どちらからともなく電話を切った。
ほんの少しだったけど、絶対に必要だったと思う。
帰り道、阿部ちゃんの声が聞けたことで少し軽やかな気持ちになっていたけど、まだ問題は何も解決できていないことを改めて思い出す。
どうしたら彼をちゃんと守れるだろうか。
一生懸命考えたけど、特別なことは何も思いつかなくて。
グループの中でも２番目に年下の俺が言うなんて生意気なのは承知だったけど、阿部ちゃん以外のメンバーにメッセージを送った。
『阿部ちゃんが戻ってくる前に、ちゃんと全員で集まって腹割って話しませんか？』
送信ボタンを押す指は、柄にもなく震えていた。
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あお - 続きが更新されるのを楽しみにしてます。 (2021年5月6日 1時) (
レス) id: 5edf3afd73 (このIDを非表示/違反報告)
ユキト(プロフ) - 苦しくて泣いちゃうけど読み応えあります、大好きな作品です。 (2021年4月19日 1時) (レス) id: 08a263e11b (このIDを非表示/違反報告)
藍華(プロフ) - はじめまして！この作品を愛読させて頂いているものです。ほんとにお話を読むたび苦しくなるのですが、何回も読み返すくらい大好きな作品です! (2021年4月9日 0時) (レス) id: 55f4a21869 (このIDを非表示/違反報告)
恋した月(プロフ) - 初めまして、このお話が好きすぎるのでコメントさせてもらいます()どの描写もabらしくてSnらしくて本当に美しいくて苦しくて大好きです。これからも応援しています。 (2021年2月13日 17時) (レス) id: d6f1a4b68b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しぃ | 作成日時：2021年1月26日 12時
