カップいっぱいのコーンスープ ページ4
朝起きてシーツも整えて、食器洗って、ヨガをして。
らしくもないけど洗濯物だってやってみた。
それでも彼が居ない朝から始まった日にはろくなことが起こらない。
扉を閉めるときに親指を挟んでしまって、皮が剥けた。
ヨガをしている時には小指をぶつけたし、洗濯物の時にはホースの事を忘れていて、床が水浸し。
むきになって全て完璧に終わらせたものの、やはり小指はじんじんと痛むし、お気に入りのネイルをしてもらったのに、取れてしまった。
綺麗に彩られた爪の中で悪目立ちする、普通の爪を二三度擦ったあと、私は立ち上がってお湯を沸かす。
「たしか、ここら辺に………」
キッチンの籠の奥の奥の奥を漁り、コーンスープの粉を二つ発見する。
大きめのカップの中に粉を出し、熱々のお湯を半分と冷蔵庫の中にある牛乳を半分程入れほどよい温かさのコーンスープを作った。
カップをしっかり握りしめ溢さないようにそろそろと足を動かす。
リビングの机の上にコトリと置いた後、木製のスプーンでぐるぐると混ぜ、粉を溶かした。
テレビのバラエティを流しながら、スマホを確認する。
(今日はどのおにぃさんとも約束してなかったよね。)
安堵しながらコーンスープに口をつける。
だってクリスマスぐらいは銃兎と飲み交わしたいもの。
▲▼
「………」
それは夜の事だ。
私は銃兎の胸に顔を当てて穏やかな息をたてて眠りにつこうとしていた。
朝の穴埋めをするように、妙に苛立っている彼を落ち着かせるために。
何も言わない。彼も、私も。
この無言の空間が何より落ち着く。
ふっ、と意識が途切れそうになったとき、彼が私を抱き上げ寝室へと足を向ける。
そっと、下ろされたものの驚いて目を見開いていると彼が冗談めかした口調で言う。
「午前零時、遊びましょ」
そういった彼に私は溺れた。
彼の甘く、辛い、その全てに。
「時を殺して、」
「今、一番幸せな今このときに。」
息も絶え絶えにそうもらすと、彼が笑う。
「嫌なこった。第一、そんな大層なこと俺には出来ない。」
綺麗な三日月の口許に私はこの世の幸せの全てを見た気がした。
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http://uranai.nosv.org/u.php/novel/umeonigiri2/
時を殺して、
午前零時、遊びましょ
【ネタ提供だよ】この台詞を使って小説を書いてほしい(切実)
↑のまとめから二つ台詞を頂きました。感謝いたします。
そして、明けましておめでとう御座います。今年も宜しくお願いします。
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作者名:秋霖時雨 | 作成日時:2018年12月10日 18時