交渉を持ちかければ ページ7
「こんなところで何してるの？」
「そう、『こんなところで何してるの？』って――えぇ！？」
上からのぞき込んでいたゾムから慌てて距離を取る。ゾムの顔にはイベントで見たあの妖しい笑顔が張り付いていた。
ひゅっと冷たい息を吸い込む。身体が強ばった。
「ゾ、ゾム？」
「盗み聞きなんて悪い子やな」
台詞まで一緒なの！？
口をにいっと開けているので特徴的なギザギザとした歯が顔をのぞかせている。
アイリに向けるはずだった台詞をAに向けて、彼は何かを考えるように下唇をなぞった。
「もしかして……見たんや」
「へ？ な、なにも！ 俺は何も見てないし！！聞いてないから」
「ふーん」
このときばかりは嘘が得意ではない自分を呪った。こんな態度では自分から見ていたと言っているようなものである。
ゲームでのアイリは好感度が上がってる状態だから殺されなかった。
でも自分はAである。
好感度どころかまともに話したことがなかった仲である。
なんとか、しないと……
このまま殺されるわけにはいかない。今のゾムは暗殺自体をやめたわけではないのだ。
人を殺すことに躊躇はないが、仲間だけは殺したくないと思っている状態である。
つまり、ゾムとって邪魔な存在だとわかった瞬間、彼は躊躇なくAを殺すということだった。
A一か八かの賭に出ることにした。
震える声を整える。
「……あのさ、俺は全部知ってるんだ。」
「全部？」
「そう、ここで話していた事も。それ以上も。例えば君の所属している暗殺組織の事も……」
見事に言い当てられ、ゾムの顔から表情が消える。その恐ろしい顔に唇が震えた。
しかし、ここで怯んでは逆効果だ。
「俺は、君のもっときわどい情報も知ってるんやけど」
「ふーん」
「まぁ、誰にもいうつもりなんてないんやけどな」
ゾムは目を眇めた。Aの出方を見ているのだろう。
「じゃあ、取引をしようよ」
「取引？ お金でもせびるつもりなんか？まぁ、そんなもんいらんし。だって今ここであんたを殺せばいいだけの話やからなぁ」
彼らしくない低いだけの声に、唾液を飲み込んだ。
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シアン - (∂ω＜)-★さん» 惚れたなんていってくれて嬉しいですっ（はぁと）応援ありがとうございます！更新がんばりますね。 (2021年2月20日 14時) (
レス) id: 1247c6a30c (このIDを非表示/違反報告)
(∂ω＜)-★ - え。惚れた。良ければ俺とお話しませんか?ﾊｧﾄ(痛い)これからも頑張ってくださいっす！応援してやす！^ω^ (2021年2月19日 23時) (レス) id: 783e49e84a (このIDを非表示/違反報告)
シアン - 夕凪さん» コメントありがとうございます！ついにいってしまいましたね笑笑 今後の展開に是非ご期待下さい！ (2021年2月14日 10時) (レス) id: 1247c6a30c (このIDを非表示/違反報告)
夕凪 - ((＾ω＾≡＾ω＜ｷﾞｬｱｱｱｱｱｱｱついに、ついに！syo君が好きって言っちゃったよ!? (2021年2月14日 7時) (レス) id: a0f47df358 (このIDを非表示/違反報告)
シアン - 紅鴇@端末垢さん» いえいえ、いつもお褒めの言葉とともにコメントしてくださっていてとても嬉しいです。よかったらこれからもみてくださると嬉しいです！いつも本当にありがとうございます！ (2021年2月13日 20時) (レス) id: 1247c6a30c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：シアン | 作成日時：2021年2月4日 23時
