イロニー家の男児 ページ13
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ルシェルカ公爵家の遠縁であるイロニー公爵家には男児が三人いた。
上の二人は大変優秀で、どちらが跡をとっても良いと言われるほどの秀才ぶりを見せていた。両親はそんな彼らを溺愛し、考え得る限りの愛情を示していた。
一方、末子のショッピは上二人の兄弟の出がらしと言われ、ぞんざいに育てられてきた。
甘えたい盛りなので何度か甘えてはみたものの、母親は一度として相手をしてくれたことはなく、世話や遊び相手はいつも使用人に任せっきりだった。
そんな生活に絶望さえ感じ始めていた頃、遠縁のルシェルカ家の養子話が持ち上がる。
ルシェルカ家には現在、五歳になる女の子がいるが、男児が生まれなくて困っていたらしい。
古い慣習だが、基本的に爵位を世襲するのは男と決まっていた。どうしてもの場合には例外が適応されるが、あまり一般的ではないのが現実だった。
貴族の責務として跡取りは残さなくてはならない。そこで、男児が三人いるイロニー家に白羽の矢が立ったのだった。
最初は二番目の兄が行くという話になっていた。うまくいけば、ルシェルカ家の跡が取れるのだ。
しかし、もしもルシェルカ家に男児が生まれた場合、二番目の兄はルシェルカ家で冷遇されるかもしれない。かの家の奥方はまだ若く、妊娠の可能性は十分にあった。
こういった懸念から、『冷遇されてもいい子』として選ばれたのがショッピだった。
出発の日、ショッピの見送りに家族は誰も来なかった。
「ぼくはすてられたん?」
そう言ったショッピに使用人は「行ってらっしゃいませ」と深々と頭を下げただけだった。
養子先であるルシェルカ家は、ショッピを快く迎え入れてくれた。むしろ大歓迎だった。
特に、義姉になるAは「やっと弟が出来たのね!」といって、ショッピを抱きしめて喜んでくれた
そんな風に歓迎されたショッピだったが、最初、彼はAの事が好きじゃなかった。
むしろ嫌いだった。大嫌いだった。
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シアン - (∂ω<)-★さん» 惚れたなんていってくれて嬉しいですっ(はぁと)応援ありがとうございます!更新がんばりますね。 (2021年2月20日 14時) (レス) id: 1247c6a30c (このIDを非表示/違反報告)
(∂ω<)-★ - え。惚れた。良ければ俺とお話しませんか?ハァト(痛い)これからも頑張ってくださいっす!応援してやす!^ω^ (2021年2月19日 23時) (レス) id: 783e49e84a (このIDを非表示/違反報告)
シアン - 夕凪さん» コメントありがとうございます!ついにいってしまいましたね笑笑 今後の展開に是非ご期待下さい! (2021年2月14日 10時) (レス) id: 1247c6a30c (このIDを非表示/違反報告)
夕凪 - ((^ω^≡^ω<ギャアアアアアアアついに、ついに!syo君が好きって言っちゃったよ!? (2021年2月14日 7時) (レス) id: a0f47df358 (このIDを非表示/違反報告)
シアン - 紅鴇@端末垢さん» いえいえ、いつもお褒めの言葉とともにコメントしてくださっていてとても嬉しいです。よかったらこれからもみてくださると嬉しいです!いつも本当にありがとうございます! (2021年2月13日 20時) (レス) id: 1247c6a30c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:シアン | 作成日時:2021年2月4日 23時