怒りの義弟 ページ11
連れてこられたのはいつもの温室だった。
そこにはやはり二人以外の人間の姿はなかった。
終始無言を貫いているショッピにAは恐る恐る声をかけた。
「あの……ショッピ?」
「なにさっきの?」
「さっきのって……」
彼の言う『さっきの』というのはロボロと身体を密着させていたときのことだろう。
責めるような声色にAは身を小さくさせた。
ここで転んだなんて姉として恥ずかしくていえないよ……
「えっと、さっきのはちょっと男だってことを認識させたくて……」
そこで初めてショッピはAの方を向いた。その顔は想像していたよりも表情がない。
「認識させるため?じゃあ疑われたら誰彼構わずあんなことうことも平気でするんや」
「い、いやぁ……」
転んだのがバレたくなくて嘘をついただけなのに何故かことは悪い方向に進む一方だ。
「よく、あんな格好できんな。姉さんには羞恥って感情はないんか?公爵家の令嬢があんな事を平気でしてるって知れたらどうなるかわかってん?」
「それは……でも、今はルシウスだし!」
「その姿だったら何やっても良いって勘違いしてへん?」
鋭い指摘に身体が跳ねる。
それを思ったことがないと言ったら嘘になる。
「ルシウスの姿でも姉さんは女性で、ロボロさんはああ見えても男性なんだよ? 節度ってものがあるやん」
「でも……」
「じゃあさ、」
急にショッピは距離を詰めてくる。手首を掴んでいた手が今度は腰に回されていた。逃げられない状態にAは固まってしまう。
「俺がさっきの姉さんみたいにしてもいいわけ?」
腰を掴んでいるのと反対の手で唇を撫でられた。
「ちょ、え……?」
Aは反射的にショッピの胸を押し返そうとするが、びくともしない。
だんだん近づいてくる彼の顔にAは為す術もなかった。ショッピの顔が視界いっぱいに広がる。
これちょっと、え? キスするみたいな……
「ぅ……」
Aはぎゅっと目をつぶり、身を固くさせた。
次の瞬間、何も唇に触れることなく、ため息だけが落ちてくる。
「……わかったでしょ。今後は気をつけて」
そう言って、ショッピはAを解放した。そのままAに背を向ける。
「ショッピ!」
Aの必死な呼びかけにも、ショッピは振り返らず、そのまま温室から去って行った。
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シアン - (∂ω<)-★さん» 惚れたなんていってくれて嬉しいですっ(はぁと)応援ありがとうございます!更新がんばりますね。 (2021年2月20日 14時) (レス) id: 1247c6a30c (このIDを非表示/違反報告)
(∂ω<)-★ - え。惚れた。良ければ俺とお話しませんか?ハァト(痛い)これからも頑張ってくださいっす!応援してやす!^ω^ (2021年2月19日 23時) (レス) id: 783e49e84a (このIDを非表示/違反報告)
シアン - 夕凪さん» コメントありがとうございます!ついにいってしまいましたね笑笑 今後の展開に是非ご期待下さい! (2021年2月14日 10時) (レス) id: 1247c6a30c (このIDを非表示/違反報告)
夕凪 - ((^ω^≡^ω<ギャアアアアアアアついに、ついに!syo君が好きって言っちゃったよ!? (2021年2月14日 7時) (レス) id: a0f47df358 (このIDを非表示/違反報告)
シアン - 紅鴇@端末垢さん» いえいえ、いつもお褒めの言葉とともにコメントしてくださっていてとても嬉しいです。よかったらこれからもみてくださると嬉しいです!いつも本当にありがとうございます! (2021年2月13日 20時) (レス) id: 1247c6a30c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:シアン | 作成日時:2021年2月4日 23時