酒に焼けた声 ページ37
「ボス！この女ですぜ」
首領の前にAは押し出される。顔を上げれば、そこにいたのは女性だった。赤っぽい色をたくさん混ぜたような明るい髪と、頬についた引きつったような傷跡が特徴の女性である。
彼女の名前はカトレア・アコナイトこの暗殺集団の首領であり、ゾム育ての親だった。
彼らはかつてうち捨てられた古城を根城にしているようで、その玉座に彼女は座っていた。
カトレアは尊大な態度で足を組みかえながら「ふーん」とセシリアを眺め見る。その視線は、まるで値踏みするかのようだった。
「こいつが王太子の婚約者、A・ルシェルカだってのは本当なのかい？
「今調べてますが、特徴は一致するかと」
酒で焼けた彼女の声に答えるのはAの背後にいる男だ。腕っ節ならば後ろの男の方が強そうだが、彼女もこんな男たちを束ねているのだ。油断はできない。
「ゾムのやつに報復を……なんて思ってたけど、それ以上の魚が自ら捕まりに来てくれたってことかい？ 理由は女の友情って？ 泣かせるねぇ」
どうやら話は通っているらしい。
カトレアはAの前まで降りてくると、彼女の顎を取り、じっくりと眺めた。
「きれいな顔だね。男でも取らせたらよく稼いでくれそうだ」
頬の傷を引きつらせながら彼女は笑う。
その笑みに背筋が震える。同じ女としてよくそういう発言ができるものだと思ってしまう。
「ま、本当に公爵令嬢なら、この国じゃ無理だろうけどね。……大丈夫だよ。ちゃんとお前の両親がお金を払ってくれれば無事に返してやる。こっちもビジネスだからね」
意外にも優しい顔でそう言い、彼女はAの顎を離した。
「いろいろはっきりするまで牢屋に入れときな。大事な人質だ。丁重に扱えよ」
カトレアが顎をしゃくりながらそう指示をすると、背後の男は「へい」と短く返事をし、Aの背を再び押した。
その衝撃で前につんのめる。
ちょうど食事中だったのか、周りの男たちは酒を掲げながら、ケラケラと笑っていた。
人がひどい目に遭うのが楽しいっていうのかしら？
もう……勝手に笑ってなさい！
そう前を向いた瞬間、床に何か光る物が落ちていることに気がつき、とっさに転けるまねをする。
床に落ちていたのは、食事をするときのナイフだった。Aはかかとを踏み、靴と素足の間にナイフを忍ばせる
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シアン - (∂ω＜)-★さん» 惚れたなんていってくれて嬉しいですっ（はぁと）応援ありがとうございます！更新がんばりますね。 (2021年2月20日 14時) (
レス) id: 1247c6a30c (このIDを非表示/違反報告)
(∂ω＜)-★ - え。惚れた。良ければ俺とお話しませんか?ﾊｧﾄ(痛い)これからも頑張ってくださいっす！応援してやす！^ω^ (2021年2月19日 23時) (レス) id: 783e49e84a (このIDを非表示/違反報告)
シアン - 夕凪さん» コメントありがとうございます！ついにいってしまいましたね笑笑 今後の展開に是非ご期待下さい！ (2021年2月14日 10時) (レス) id: 1247c6a30c (このIDを非表示/違反報告)
夕凪 - ((＾ω＾≡＾ω＜ｷﾞｬｱｱｱｱｱｱｱついに、ついに！syo君が好きって言っちゃったよ!? (2021年2月14日 7時) (レス) id: a0f47df358 (このIDを非表示/違反報告)
シアン - 紅鴇@端末垢さん» いえいえ、いつもお褒めの言葉とともにコメントしてくださっていてとても嬉しいです。よかったらこれからもみてくださると嬉しいです！いつも本当にありがとうございます！ (2021年2月13日 20時) (レス) id: 1247c6a30c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：シアン | 作成日時：2021年2月4日 23時
