検索窓
今日:1 hit、昨日:2 hit、合計:20,506 hit

122話 ページ28

乱歩さんの声ではッとする。


いつもより真剣な声色で落ち着きを取り戻した。


そうだ、つい先刻云われたばっかりじゃあないか。混乱は禁物。相手からどんな話、要求が出されても冷静は失うな、って。



「______はい」



「………うん。ちゃんと助言は役にたっているようだね。君ならできる」





大丈夫、こんなに背中を押されているんだ。失敗する訳にはいかないし、……失敗する訳ない。


考え事をする時にする手の形____両手の指先をくっつけて目を伏せた。


ぐるぐると脳内で言葉が回る。組合が食いつくほどの『餌』。マフィアが楽をして二つの組織を穴に落とすモノ。


………お金ではないな。組合は資金力が最も優位にあるって太宰さんが云ってたもの。じゃあ探偵社が『餌』にとられて困るものは?……えっと、情報?否、なんの情報だってばよ。情報だとしても困るものって_____









と、その時。


人情に厚い探偵社にとって弱いところってなんだろうと思った。そんなのは考えるまでもない、仲間の窮地だ。仲間が人質にとられたら手も足もでまい。





「事務員さん…?」





ぼそりと云った言葉。誰かが息を飲む。目線を合わせた重力使いはこう云った。





「ご明察」









----------------


ああ、いやだ。


部下の血や抜け殻なんてあたりに転がってて。正義やら秩序やらが消え去っている無法地帯。地獄絵図。


どいつもこいつもあの憎ったらしい組合の所為だ。「破戒」のヤツもこの訳わかんねえ“呪い”にかかってたら……考えるだけで吐き気がでる。





「彼奴の生存能力に賭けるしかねえって事か…」





ああ、いやだいやだ!


彼奴に賭けるなんて屈辱的なことをなんでしなきゃなんねえんだ!今すぐにでも息の根を止めてやりたいのに!


唇をぐっと噛み、腹癒せとして“呪い”にかかった男の腹を蹴った。





「春樹!」


「はい、中原幹部。」


「…相当腹にきてるところ悪いが300m東の地点で手に負えねえ奴等がいるみてえだ。加勢してこい。」


「了解しました。」





…ああ、いやだ。








-----------------

三ヶ月も更新してないですね。すいませんっした!

123話→←121話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (53 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
280人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ぺぽん(プロフ) - 迷たんてーさん» いえいえ、とても参考になりました。ありがとうございます! (2023年2月26日 6時) (レス) id: 83a944f022 (このIDを非表示/違反報告)
迷たんてー(プロフ) - ぺぽんさん» に載せています。長文で申し訳ないです。 (2023年2月26日 1時) (レス) id: 5339bce968 (このIDを非表示/違反報告)
迷たんてー(プロフ) - ぺぽんさん» お返事遅くなりすみません。面白いと言っていただきとっても嬉しいです!そうですね、アイデアを出そうと思っても出ないものなので、ある時突然頭に降ってきます。あとは私は生粋の夢女なので、原作を見ている時に夢主はこんなことをするのかなと時折考えて、それを小説 (2023年2月26日 1時) (レス) id: 5339bce968 (このIDを非表示/違反報告)
迷たんてー(プロフ) - しがない一般人さん» お返事遅くなりすみません。ありがとうございます (2023年2月26日 0時) (レス) id: 5339bce968 (このIDを非表示/違反報告)
ぺぽん(プロフ) - 面白くて一気に読んでしまいました!オリジナルのお話も含まれていて飽きません。質問なのですか、どうやってオリジナルの話を考えていますか?イメージが突然降ってくるものなのでしょうか?良ければ教えてください! (2023年2月20日 3時) (レス) @page16 id: 83a944f022 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:迷たんてー | 作成日時:2019年2月22日 18時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。