122話 ページ28
乱歩さんの声ではッとする。
いつもより真剣な声色で落ち着きを取り戻した。
そうだ、つい先刻云われたばっかりじゃあないか。混乱は禁物。相手からどんな話、要求が出されても冷静は失うな、って。
「______はい」
「………うん。ちゃんと助言は役にたっているようだね。君ならできる」
大丈夫、こんなに背中を押されているんだ。失敗する訳にはいかないし、……失敗する訳ない。
考え事をする時にする手の形____両手の指先をくっつけて目を伏せた。
ぐるぐると脳内で言葉が回る。組合が食いつくほどの『餌』。マフィアが楽をして二つの組織を穴に落とすモノ。
………お金ではないな。組合は資金力が最も優位にあるって太宰さんが云ってたもの。じゃあ探偵社が『餌』にとられて困るものは?……えっと、情報?否、なんの情報だってばよ。情報だとしても困るものって_____
と、その時。
人情に厚い探偵社にとって弱いところってなんだろうと思った。そんなのは考えるまでもない、仲間の窮地だ。仲間が人質にとられたら手も足もでまい。
「事務員さん…?」
ぼそりと云った言葉。誰かが息を飲む。目線を合わせた重力使いはこう云った。
「ご明察」
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ああ、いやだ。
部下の血や抜け殻なんてあたりに転がってて。正義やら秩序やらが消え去っている無法地帯。地獄絵図。
どいつもこいつもあの憎ったらしい組合の所為だ。「破戒」のヤツもこの訳わかんねえ“呪い”にかかってたら……考えるだけで吐き気がでる。
「彼奴の生存能力に賭けるしかねえって事か…」
ああ、いやだいやだ!
彼奴に賭けるなんて屈辱的なことをなんでしなきゃなんねえんだ!今すぐにでも息の根を止めてやりたいのに!
唇をぐっと噛み、腹癒せとして“呪い”にかかった男の腹を蹴った。
「春樹!」
「はい、中原幹部。」
「…相当腹にきてるところ悪いが300m東の地点で手に負えねえ奴等がいるみてえだ。加勢してこい。」
「了解しました。」
…ああ、いやだ。
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三ヶ月も更新してないですね。すいませんっした!
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ぺぽん(プロフ) - 迷たんてーさん» いえいえ、とても参考になりました。ありがとうございます! (2023年2月26日 6時) (レス) id: 83a944f022 (このIDを非表示/違反報告)
迷たんてー(プロフ) - ぺぽんさん» に載せています。長文で申し訳ないです。 (2023年2月26日 1時) (レス) id: 5339bce968 (このIDを非表示/違反報告)
迷たんてー(プロフ) - ぺぽんさん» お返事遅くなりすみません。面白いと言っていただきとっても嬉しいです!そうですね、アイデアを出そうと思っても出ないものなので、ある時突然頭に降ってきます。あとは私は生粋の夢女なので、原作を見ている時に夢主はこんなことをするのかなと時折考えて、それを小説 (2023年2月26日 1時) (レス) id: 5339bce968 (このIDを非表示/違反報告)
迷たんてー(プロフ) - しがない一般人さん» お返事遅くなりすみません。ありがとうございます (2023年2月26日 0時) (レス) id: 5339bce968 (このIDを非表示/違反報告)
ぺぽん(プロフ) - 面白くて一気に読んでしまいました!オリジナルのお話も含まれていて飽きません。質問なのですか、どうやってオリジナルの話を考えていますか?イメージが突然降ってくるものなのでしょうか?良ければ教えてください! (2023年2月20日 3時) (レス) @page16 id: 83a944f022 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:迷たんてー | 作成日時:2019年2月22日 18時