遊覧船 ページ12
「着きましたねー。あ、あれが受付です」
空港内。先を歩く倉橋ちゃんが指差す方へ視線を移す。空港の外が暗くなっていく中、乗り場は多くの人で賑わっていた。
「えっと、チケットがあって…女性三名です」
「チケットの方、拝見いたしますね」
フランちゃんがチケットを差し出す。
乗務員の女性は半券を切った後、船内マップも添えて私達に手渡した
「チケット、確認いたしました。フライトは4時間。ラウンジは各階に1つずつ設置されています。1階にはヨークシンの夜景がテーマのラウンジ、2階にはハーブや花湯など水がテーマのラウンジ、そして最上階にあるのが星空がテーマのラウンジです。出航は20時です。それでは、いってらっしゃいませ」
説明を終えた乗務員さんが、搭乗口のゲートを開けてくれる。
ワクワクするな、どのラウンジも気になるし
「先輩〜どこから行きますか?」
『うーん、そうだなー。て、わあ……!』
鼻腔に広がる甘い香りに、パステルカラーの光が視界を照らす。
飛行船の内部は、スワロフスキーやステンドグラスで豪華に飾り付けがされていた。
「大きな飛行船ですね。すぐに迷ってしまいそう」
フランちゃんの言葉に、乗務員さんがくれた地図を見る。ここが、メインホールか。
『一階はヨークシンの夜景……まずここから行ってみよー!』
「いいですね〜」
メインホールを真っ直ぐ突っ切るように歩けば、一階のラウンジに着くはずだ。
「あ、グランドピアノがあります」
『ほんとだ。すっごい高そうだね』
メインホール中央に、白いグランドピアノが置かれている。金色のリボンがかかったそのシルエットや、様々な色のライトとジュエリーの装飾が綺麗だ。
「ほら、2人とも。ラウンジはあっちです」
グランドピアノにすっかり乙女気分で立ち止まる私達を引っ張る倉橋ちゃん。全然魔法にかからないじゃんこの子。流石だわ
「ここですね」
倉橋ちゃんの足が止まったところで、辺りを包む雰囲気が一変する。
甘ったるいっていうか…ジャズが流れ始めて、なんだか雰囲気だけで酔いそうだ。
薄紫に染まるラウンジ。大きな窓は、ヨークシンのビル街を美しく映している。窓に沿って並べられたチェアからは、落ち着いた色合いのフェザーがさがっていた。
『お洒落……ん?』
店内を見渡して、ふと窓際に座る2人組に目がいく
ワインレッドの背景に、見覚えのある姿が浮かんでいた
——
『はは、倉橋ちゃんがいればどんな輩が出ても怖くないわ』
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shela(プロフ) - はにゃ?さん» コメントありがとうございます!読みやすさ重視で頑張っていたのでとても嬉しいです〜応援ありがとうございます、これからも頑張ります!! (2023年2月10日 18時) (レス) id: 9d22579331 (このIDを非表示/違反報告)
はにゃ? - とても読みやすいです。これからも応援してます。 (2023年2月10日 8時) (レス) id: ef6fdebb20 (このIDを非表示/違反報告)
shela(プロフ) - アクアクさん» コメントありがとうございます〜!読者様の求めている作品に一致しているだなんて、本当に光栄です!!必ず続きを書きますので、これからも社畜少女にお付き合いいただければ嬉しいです!作品を読んでいただき、ありがとうございました! (2023年1月4日 17時) (レス) id: 9d22579331 (このIDを非表示/違反報告)
アクアク(プロフ) - これぞ私が求めていた作品そのもの!!続き待ってます!!!! (2023年1月4日 8時) (レス) @page45 id: 2730d44706 (このIDを非表示/違反報告)
shela(プロフ) - レーナさん» 読んでくださって、そしてコメントまでありがとうございます!お褒めのお言葉いただき嬉しいです!嬉しすぎますっ!!ネタやテンポ、力を入れているところなのでそう言ってもらえて本当にもう…!お気遣いありがとうございます、これからも頑張りますっ! (2022年4月2日 8時) (レス) id: 9d22579331 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:shela | 作成日時:2021年12月28日 19時