人魚姫に貢いで良いですか？【太宰治】

27：人魚姫と黒い王子さまのすれ違い ページ27

放課後…みんなと寄り道をして帰っていた。ファストフード店へ行き、その後にカラオケへ向かった。


「何歌おうかなあー。」

「Aは何にする？」

「うーん…。」



みんなとわいわいしながら歩いていた…その時だった…




治さんが女の人の肩を抱き寄せて街を歩いていた…。見間違えるはずはなかった、はずがない…絶対間違わない…あんなにも包帯ぐるぐる巻な人は、あの人しかいないからだ。
私のこと…好きじゃないんですか？私に貢ぎ養いたい程に好きで大好きで…愛してて愛おしいんじゃないんですか？
2人はそのままどこかお店に入って行った…、その時…その瞬間に…治さんはその人とキスをしていた…。




「Aー？どうしたー？」

「具合悪いの？」

「大丈夫？」

「今日は止めとく？」

「大丈夫…。」





治さん…嘘だよね…？




カラオケに行っても、あまり盛り上がれなくてみんなには申し訳なかった。



「じゃあ気を付けてねA。」

「また明日。」

「学校でね！！」

「バイバイ。」

「うん…。」





1人でドボドボ歩いて帰っていた。寂しくて…虚しかった。




「そうだよね…治さんカッコイイもん…。本命くらいいて…当然だよね…。彼女くらいいて…当然だよね…。」




少し期待した私は…バカなんだ…。今の関係以上を望まないのは彼女がいるから…、望めないのは本命がいるから…。私はただ単にホントに貢ぎ養いたいだけの存在…、治さんからしたら私はそんな存在なのだろう。



「治さん…私…治さんが好きだよ…。」

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