途中下車【太宰治】 (ページ5)

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今日は新人さんが入ってくるらしいが、昨日の晩はたくさんお酒を飲んでいた。そしてそのまま酔いつぶれて目が覚めると…

「んー…もう…午後なのかい？短いものだねぇ…。」

そろそろ出勤しようか。

のんびりと寮を出てのんびりと街を歩く。途中綺麗な川を見つけたが新人さんが入ってくるのに寝坊したから諦めて寄り道をせずに真っ直ぐ向かった。

挨拶をして社に入った大欠伸をしてもう一度挨拶。新人さんがいるそうなのだが見当たらない。国木田くんはいつもは怒るのに新人さんがいるのかとても静かに注意する。新人さんのことを聞きそちらの方を向くと…

見覚えるのある女性だった。

忘れやしない…

あの子だ。

綺麗な茶に桜色が混じった腰までのウエーブのかかったロングヘア。猫のような大きな目の色は琥珀色をし吸い込まれそうな程輝いて見える。
こぼれ落ちそうな双丘は昔お巫山戯で何度触っただろう。白のシフォンロングワンピースの上から黒のカーディガンを羽織るのは昔から変わらない。

忘れられるはずがない。

彼女だ…

泉杯…A…。

私の彼女だ…。

ビックリして目を見開いた。すると向こうもこれでもかと言うくらい目を見開いていた。

2度と彼女とは会うことはないと思っていたのに…。

突き放したのは私だ。

ミミックのことで頭がいっぱいで忙しくて…、何も悪くない彼女にキツく冷たく当たって…その辺りからだ。すれ違いが起きたのは…。

それから私の勧めでみんなで下のうずまきに行くことになった。