検索窓
今日:6 hit、昨日:24 hit、合計:673,727 hit

11-新たなはじまり ページ33

.




『…………ん、』



大きな窓から差し込む薄日。何かの物音に、真っ暗な世界から色のついた世界に引き戻された。

ゆっくり目を開ければ見えたのは、見慣れた広い部屋。


私は目に入る情報を頼りに少しずつ状況を理解していく。



昨日の夜、というか正確には日付は今日なんだけど。佐久間さんのカップラーメンの匂いを嗅いでたら、プリンを食べたはずなのにお腹が空いてきて。

それでたしかチョコやら甘いものを摘みながらみんなでここで映画を見てた。



いま、私がいるのは明らかにリビングのソファー。

そして少し痛む身体を起こして周りを見渡せば、私と同じようにソファーで寝てる人がふたり。



……あぁ。あのまま、みんな寝ちゃったってことか。



全く起きる気配のない渡辺さんと佐久間さんの二人を見たあと、とりあえずぐっと背伸びをしてみた。



なんかちょっと昨日より、私の気持ちが晴れてるような気がする。

泣くだけ泣いたからか、それともこの2人と夜更かしして気持ちが紛れたからか。



まあとにかく、思っていたよりも結婚式の精神的なダメージは最小限で済んだみたいだ。



2人を起こさないようにそっとソファーから離れて、先ほどの物音の正体を確認するために、足音を立てないように注意を払いながらゆっくり歩みを進める。



そしてリビングの大きな扉のドアノブを、こちらも音を立てないように静かにひねって開けると――――扉の向こう側にいた人物と目が合った。









『……っ、深澤さん、』

「…びっくりした、Aちゃんか、」



一瞬驚いたように開かれた瞳は、私の姿を確認するとゆるりと緩められた。

どうやら彼は今しがた、どこかから帰ってきたところらしい。

おそらく先程私が目を覚ました物音は、彼が帰ってきたことによるものだったみたいだ。




「おはよ、もしかして今起きたところ?」

『え、』

「なんかねむたそーな顔してるから」



私の顔を見てふっと笑った深澤さん。

そこで自分が寝起きであることを思い出して、なんでか少し恥ずかしくなった私は、慌てて彼に向けていた視線を下に落とした。




.

.→←.



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (834 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
2827人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

こゆき(プロフ) - 彩花さん» 気がつきませんでした…!教えてくださってありがとうございます!とても助かりました…!! (2020年12月23日 0時) (レス) id: 7e9ebf3478 (このIDを非表示/違反報告)
こゆき(プロフ) - れいさん» ありがとうございます…!これからも楽しんでいただけるように更新頑張ろうと思います…! (2020年12月23日 0時) (レス) id: 7e9ebf3478 (このIDを非表示/違反報告)
こゆき(プロフ) - べぺさん» コメントくださっていたのに気づかなくてごめんなさい…!待っていてくださる方がいるというお言葉で、更新頑張れそうです!ありがとうございます…! (2020年12月23日 0時) (レス) id: 7e9ebf3478 (このIDを非表示/違反報告)
彩花(プロフ) - 何度もすみません!今日もう一度読み返してたら13ページ目のタイミングがタイミグになってました、!余計なお世話だったらすみません! (2020年12月22日 14時) (レス) id: 7fda05ffd5 (このIDを非表示/違反報告)
れい - なんとなーく更新待ってました…!再開してくれて本当に嬉しいです!これからも楽しんでいきます!! (2020年12月4日 1時) (レス) id: c0a052e646 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:こゆき | 作成日時:2020年7月28日 15時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。