検索窓
今日:210 hit、昨日:409 hit、合計:632,508 hit

モブについての考察 ページ13










______彼女と俺達の歯車が噛み合ったのは、恐らく、この日。


警察学校を卒業して七年が経った、ある日の正午のことだった。





時は数時間前に遡る。



久々に実家に顔を出した俺___萩原研二は、身の回りの整理も兼ねて、かつて使っていた勉強机の引き出しを漁っていた。


学生時代に押し込んだ赤点のテストやら成績表やら、出さなきゃいけない期限が過ぎて隠蔽した手紙などなど、漁れば漁るほど出てくる。



中には当時付き合っていた彼女との写真も入っていた。まぁ二ヶ月で別れたけど。




そうして整理を始めてから数時間後、一番下の引き出しから見つけた一枚の集合写真。


そのあまりの懐かしさに大興奮した俺は、掃除にも飽きていたということで、すぐ様同じタイミングで帰省している陣平ちゃんの元に急いだ。



彼は突然自分の実家を凸ってきた俺を見て訝しげに眉を顰めると、「んだよ急に」とため息を吐く。


そんな露骨に嫌な顔しなくてもいいだろー?








「陣平ちゃん!見ろよこれ!高校ん時に撮った集合写真見つけちゃった」


「お前な……んなもんどっから見つけて来たんだよ」


「机の引き出しに入ってたわ」








依然として迷惑そうにはしていたものの、写真を見始めると案外陣平ちゃんもノリノリで。


こいつはクラスのマドンナと付き合ってた誰々だ、とか、この子は男子の大半が惚れてたなんとかだ、とか。

そんな思い出話に花を咲かせていると、陣平ちゃんの指先がふと、とある女の子を指差して止まった。








「あー……なんか居たな、こんな奴。どっかの動物園みてぇな名前だったことしか覚えてねぇ」


「いやいや、なんつー覚え方してんの陣平ちゃん。___上野(うえの)だよ。上野A。ほら、俺が一回大学で人違いした、」


「……あー、アイツか」








その言い方だと大学の時に人違いした人物が上野みたいになるけど、逆だからね。

上野だと思って声かけたら違ったってやつだから。



でも、あん時はマジでビビったな。

俺、人の顔とか名前って結構ちゃんと覚えてるし、あん時も絶対上野だ!って思ったのに。


まぁ、俺と同じ高校だった上野が県外出身なわけないから、すぐに謝ったんだけど。





______あれ?だとしたら、色々と可笑しくないか。








「あのさ、君って俺と同じ高校の人だよね?」


「……いえ、違いますけど。私県外からなので」









なんであの子は、俺達が県内からの進学って分かったんだ……?








_→←××××



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (1573 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
2256人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

メル(プロフ) - これはまじで神作だわ、、初めてここまで鳥肌のたつ作品に出会えました。 (4月19日 21時) (レス) @page35 id: 4a64b135ae (このIDを非表示/違反報告)
脱兎@さき(プロフ) - これが神作ってやつか…………最高すぎました (4月15日 18時) (レス) @page35 id: 474e2f0f3d (このIDを非表示/違反報告)
向日葵蜜柑 - 好きです(唐突な告白) (6月15日 7時) (レス) @page35 id: d4d5a8cd26 (このIDを非表示/違反報告)
めいめい(プロフ) - やばい、すき (6月12日 21時) (レス) @page35 id: 19d12ec8ba (このIDを非表示/違反報告)
陽毬(プロフ) - 構成から何からもう最高に格好良過ぎ大好き。夢主は当然設定とその小出し方がもうほんとドタイプだし終わり方も最高過ぎた……。まじで良いお話ありがとうございます (5月30日 12時) (レス) @page35 id: 22cb640d25 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:無糖 | 作成日時:2022年4月29日 0時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。