ヒロインの色恋沙汰とかどうでもよき｡【梟谷】

ハイスペック赤葦 ページ4

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赤葦京治はとにかくすごい。


２年生にしてバレー部の副主将｡

成績もよく、先生からの評価もいい。


加えて決して調子に乗らず性格も控えめでおとなしいとくればモテない方がおかしい。


そんなハイスペックな赤葦はイケメンである。


ここまでくると「お前チートキャラか」と突っ込みたくなる。


「あ、赤葦くんおはよう！」


普段は明るくておしゃべりが大好きな美紀も赤葦の前だとすごくおとなしくなる。


そんな親友の姿はさながら恋する乙女で見ていると「青春だね」とか言ってみたくなる。なんなら爽やかな笑顔で。


「赤葦くんお疲れ様」


赤葦と美紀の間にスルリと入り込んだ水沢さんはバレー部のマネージャーのためそれなりに良好な関係だ。大人しそうな見た目だが、恋敵が好きな人と話しているのを見逃す気はまったくないらしい。そういうところだ。


あっという間に赤葦を取ると美紀のことなど空気のように話始めた。


「あー！ むかつく！」


残された美紀は憤慨したように頬を膨らませてこちらに戻ってきた。


「しかもあれ無自覚でやってるんだよね」


「そう！ 本当に腹立つ！」


以前､同じような場面で美紀が水沢さんに


「今､私が話してるから､待ってくれる？」

嫌味無しで普通に頼んだのに彼女は

「あ､ごめんなさい……」

と涙目になりクラスの男子からあっという間に「大丈夫？」「俺は水沢の味方だからね」と囲まれていた｡


本当に意味わかんない。これじゃあまるで美紀が水沢さんをいじめる悪役みたいじゃん。


これには美紀や私だけでなく他の友達も「うわ、水沢ないわ」と怒った。多分、女子が２グループに分かれたのはここら辺からだった気がする。


第一印象は「おとなしそうな女子」だったのが今では「男子に媚び売って人気をとるぶりっこ」と最悪のイメージ。


だから女子の大半から彼女は嫌われている。


赤葦がさっさと誰かとくっつけばいいのに｡そうしたらこのめんどうな対立なんて終わるだろうから｡


私が望むのは「平穏な一軍生活」


ただでさえ一軍でいるために美紀の親友ポジを死守しなくちゃいけないのに､さらに水沢のことまで加わったらキャパ超えする。


「片桐ひとり百面相してるけどどうしたの？」


それもこれも全部隣のチートキャラのせいだ。


なんかムカついてきた



「赤葦みたいなイケメンは滅びろって思ってた」


「どう受けとればいいの」


「誉めてる！」


「……ありがとう？」

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