対戦後 ページ19
ゲートからでてしばらく走っていくと意識が霞んできて気がつけば荘園の扉の前に居た。
労いの言葉を交わし具体的な反省会はイソップとするといいと言われ、ナワーブとエマは慣れたように扉をくぐっていった。
「なぁ、イソップ」
「……はい、」
会話をするには少し遠い場所から返事が帰ってくる。これから言う言葉は、きっと叶うことは無いのだろうけども…少しでも、彼との時間が欲しかった。
「…少し、ここを離れよう」
「………荘園からは出られませんよ」
「ちょっと歩くだけだ。付き合ってくれないか？」
「…はい。」
大きな扉に背を向け、より闇が深い方へ、光が必要な方へと足を進めた。
ー…ー…ー…ー…
ざくざくと道と呼ぶには手入れがなっていない道を歩く。月明かりも弱い、働きがいのある闇だった。
「イソップ…その、確かにさっきダウンさせられて…椅子に…」
「…はい」
「なんで、」
そういうと彼は足を止め、俺の方に向き直る。
「説明、してませんでしたね。」
ちょっと悲しそうに笑ってポツポツと話し始めた彼を俺はただ見つめることしか出来なかった。
「…ここに来た人…、サバイバーは1人ずつ違う出来ることを持っているんです。元来の職業に基づいたり本人の過去が深く関わった事がほとんどです。」
「僕が出来るのは納棺。死に瀕した者を救う職だから、なんでしょうか。僕が納棺したサバイバーは1度椅子に座らされても棺から蘇生することができるんです。」
提灯に照らされる顔は既に悲しそうな笑みではなく怒っているような、苦しんでいるような感情を表していた。
「僕は、…僕の本来の在り方は、眠りについた人に安らぎを、死という隣人に寄り添ってともに歩んでいく、はずなんです。」
「イソップ…」
彼の声色は荒く怒気を含んでいくように思えた。
「こんなの、こんなことをしたくて僕はこの職をしている訳では無いんです、！」
「…イソップ、」
「死化粧をしなければ自分自身だって蘇生出来てしまう、僕の常識が全てねじ曲がって…！！」
「イソップ！！！」
「っ…！
……………すみません。」
そっと提灯の火を消した。
もう、彼の顔を見てはいけない気がして。
「…おそくまで付き合わせてごめん」
月も出てきたし帰る方向はハッキリとわかっている。風邪もだいぶ冷たくなってきた。
「いこうか、」
はぐれないようにと、そっと差し出した手を取ってもらえることは無かった。
続く
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灰色のもふもふ(プロフ) - 塩化なとりうむさん» コメントと応援ありがとうございます。励みになります！カタツムリみたいな速度になってしまいますがこれからも応援よろしくお願いします！ (2019年7月21日 16時) (
レス) id: 268e903cb0 (このIDを非表示/違反報告)
塩化なとりうむ(プロフ) - 望んでたシチュというか設定というか...ありがとうございます！！更新は無理せずに行ってくださいね。応援してます！ (2019年7月20日 20時) (レス) id: 9c32775155 (このIDを非表示/違反報告)
灰色のもふもふ(プロフ) - 7-10さん» わぁあー！コメントと感想ありがとうございます！もっと可愛らしい言い回しをして見たかったんですが語彙が無くて…。そう言って貰えると嬉しいです。更新楽しみにしててくださいね！(*´∀｀) (2019年5月7日 16時) (レス) id: 268e903cb0 (このIDを非表示/違反報告)
7-10(プロフ) - そら豆で飲んでた珈琲君が8割型ぶっ飛びました。控えめに言って好きです。更新全裸待機です_(°ω°｣ ∠)_ (2019年5月5日 3時) (レス) id: 9a172e50f5 (このIDを非表示/違反報告)
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