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顔を見せて!(Aesop side) ページ14

夜のうちに話しておけばよかった。
トレーに乗った冷めた朝食を見つめていると大きなため息が出た。

1人にしてくれと言われたから行きようがないし彼自身も混乱してるだろうからしばらくは1人にしておくべきだと思う。
普通の人がそうであるように、一人でいると少しばかり気が楽なのだ。

ふと彼のあの夜色の瞳が曇ったのを思い出す。
本当にごめんなさい。僕は悪い人だ。

厨房にトレーを置いて自室へ戻る。

ちょっと遠い存在だった彼が、自分より強くて友達もいっぱい居ると思っていた彼が、力なく頼ってくれたことが僕をどうしようもない気持ちにさせた。

昨晩、人の話を遮ってまで自分の話は出来ず順を譲ってしまったけど…。

1晩経った今でも思い出す度にゆるゆると頬が緩んでしまう。


嬉しかったんです。

貴方も僕と同じだったことが。


ぱたん、と控えめな音をたててドアを閉める。
少し落ち着いた方がいいのかもしれない。
今日もゲームは無いだろうし化粧箱の整備でもしようかな。

ふと気がつくと時計は頂点を過ぎており廊下が少し賑やかになっていた。
お昼か。

Aさんに食堂の場所とか教えなきゃ。
彼の部屋に行き、ノックをしてみる。
返事はなかった。声を掛けてみる。
反応はなかった。ドアを開け中を覗いてみる。
朝とほぼ変わらぬ様子の部屋に居るべき人の姿が見当たらなかった。

居ない…?

先に行ったのかと食堂に足を運んでみても夜色の髪は見当たらない。

「…Aさん、A、…」

「イソップ?」

「わァ!」

…びっくりした。
挙動不審な僕を見かねたサベダーさんが声を掛けてくれてたらしい。
荘園に来たばかりの時みたいだったぞと可笑しそうに笑う彼を見て少し頬を膨らます。
おもしろくないです。もう。

一応新しく来たサバイバーがどこかへ出掛けてしまったことを伝え、見つけたらご飯は食べさせてあげるように頼んでおく。

案の定色のいい返事が返ってきた。
人も増えてきたしここはもう彼に任せて僕は他のところを探しに行くことにした。

……………………………

日も落ち彼も見つからず本格的に心配になってきた頃、自室に戻るとドアの前でサベダーさんが待っていた。

「イソップ」

「あの綺麗な髪の野郎だろ?」

と彼の部屋を指さした。

サベダーさんの話によると彼はハンター領にまで行っていたらしい。

どうりでどこにもいない訳だ。あそこに近寄らないのはサバイバーとハンター内の暗黙の了解なのだ。

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灰色のもふもふ(プロフ) - 塩化なとりうむさん» コメントと応援ありがとうございます。励みになります!カタツムリみたいな速度になってしまいますがこれからも応援よろしくお願いします! (2019年7月21日 16時) (レス) id: 268e903cb0 (このIDを非表示/違反報告)
塩化なとりうむ(プロフ) - 望んでたシチュというか設定というか...ありがとうございます!!更新は無理せずに行ってくださいね。応援してます! (2019年7月20日 20時) (レス) id: 9c32775155 (このIDを非表示/違反報告)
灰色のもふもふ(プロフ) - 7-10さん» わぁあー!コメントと感想ありがとうございます!もっと可愛らしい言い回しをして見たかったんですが語彙が無くて…。そう言って貰えると嬉しいです。更新楽しみにしててくださいね!(*´∀`) (2019年5月7日 16時) (レス) id: 268e903cb0 (このIDを非表示/違反報告)
7-10(プロフ) - そら豆で飲んでた珈琲君が8割型ぶっ飛びました。控えめに言って好きです。更新全裸待機です_(°ω°」 ∠)_ (2019年5月5日 3時) (レス) id: 9a172e50f5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:灰色のもふもふ | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2019年3月3日 16時

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