Scene37 王子様のキス ページ37
シュウはそっとAの頬をなぞった。初めて触れた白くてつややかなAの頬は、
Aの薄くぷっくりとした唇は、軽く結ばれていた。
シュウは涙を
「A…。好きだ……」
Aの顔にシュウは長い指を添えた。Aの顔は、すべてシュウの手に包み込まれそうだった。
______ゆっくりと唇を、落とす。
薄目を開けそうな小さな願い。
Aは、薄く目を開いた。そしてその次の瞬間、驚きのためか勢いよく身体を起こそうとして、勢いよくシュウと額をぶつけた。
「シュウ君⁉」
Aに負けず驚いたのはシュウで、こちらも目をぱちくりさせた。
「A⁉ どうして？」
この言葉にAはちょっと不満そうな顔をして、
「どうしてって、なによ。せっかく目を覚ましたんだから」
「いや、でもこの部屋の感じとかさ。指もすごく冷たかったし…」
「ああ、私冷え性なの。お花は、手術成功のお祝い。今日の朝目が覚めたの」
「なんだ……」
まだAの目が覚めたことに対する驚きの残るなか、シュウは“1週間”の意味を取り違えて悩んでいたことに気づいて赤面した。しかしすぐにAに笑顔で向き直り、言った。
「おめでとう、A」
シュウの頬にはまた涙が線を引いた。今度は、嬉し涙だった。Aも涙を浮かべて笑った。
「シュウ君も、待っててくれてありがとう」
2人は抱きしめあった。2人の間を説明するのに、もはやどんな言葉も必要なかった。
しばらくそうしていた後、シュウはあらためて伝えるべきことを言おうと呼吸を整えた。
言おうと思ってからもう大分経ってしまった。いざ伝えようと思ったらAが眠ってしまった。だけど今なら伝えられる。
ほらほら、あの人から言いたいことがあるみたいですよ☆
シスコ「お前はオレだけ見とけばいいんだよ」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 18人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品が参加のイベント 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
通行人 - ふと思い出して、久しぶりに来てみました。やはり引き込まれる。 (2019年9月5日 19時) (
レス) id: 7f966a9c98 (このIDを非表示/違反報告)
瀬央(プロフ) - 美桜さん» ありがとうございます！少ない脳を振り絞って書いただけありました(笑) トプ画のことまでお気づきとは…さすがです！ (2019年2月15日 23時) (レス) id: a6baa0d096 (このIDを非表示/違反報告)
美桜(プロフ) - あと、トプ画ですが、人物を抜いてオーダーされていましたね！そこがとても内容と合っていてさすがだな〜とセンスに感動しています 次作品も楽しみに待っていますね〜^^ (2019年2月15日 22時) (レス) id: 02de3cf915 (このIDを非表示/違反報告)
美桜(プロフ) - 素敵な作品をありがとうございました！！！フブキもシュウも彼等らしい爽やかな感じで、読んでいて温かくなりました^^とても読みやすい文章に文間、ストーリー構成、とても勉強になります！私も瀬央さんを見習って、風景と心理描写をシンクロさせたラストへ進みたいです (2019年2月15日 22時) (レス) id: 02de3cf915 (このIDを非表示/違反報告)
瀬央(プロフ) - みずきさん» そう言ってもらえるととても嬉しいです。ベイバをこよなく愛してるから、学校の作文より本気になって書いてるかもしれません(笑) (2019年2月12日 23時) (レス) id: d89c1d2e97 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
