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しばらく歩くと、河原で人が集まっていた
その人混みの中に、何やら白い物体が
随分見覚え、というか、見たことしかないそれに、声をかける
「エリザベスだよね?」
エリザベスと呼んだその物体は声をかけても微動だにしない
よく見れば、いつも一緒にいる
「小太郎はどうしたの?」
その名を出した途端、エリザベスはピクリと動いた
どうやら中身がなくなったわけではなさそうだ
一段と挙動不審なエリザベスを不思議に思い、横目で流していると何やら周りの人達がひそひそと話し始めた
「また辻斬りかい、これで何人目だ」
「切られてんのは用人ばかりだと聞くがねぇ」
その会話を耳にした途端、私は固まった
まさか
嫌な汗が額から頬を伝う
隣にいたエリザベスを見やると
「エリザベス…?」
その白い巨体は、姿を消していた
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「桂さんがいなくなった?」
一方その頃万事屋では先程まで河原にいたエリザベスが客間のソファに座っていた
目の前には零れたいちご牛乳
コップに注がれたいちご牛乳に映るエリザベスは目から涙が零れていた
「エリー…」
「僕達に、桂さんを探すのを手伝ってほしいということなんですね」
[そうです]
震えるその手で板を掲げている
[桂さん…]
「エリザベス…」
[この間貸した300円返して欲しい]
「そこかよ!!!!」
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作者名:ハル | 作成日時:2019年8月16日 21時