現状把握 ページ33
沖田視点
ああ、心臓がうるさい。
俺が荻……井荻Aに話しかけたのは、席が前後と言う理由だけではなかった。
……これを言うのには少し勇気がいるから、少し待ってもらいたい。
彼女と初めて会ったのは3-Zの教室ではなかった。
確か、1年の新人戦があった頃だろう。
その時、俺は1年にして剣道部の中でトップ、団体戦にも先輩に混じって入る程の実力があった。
つまり俺はその時鼻が高かったのだ。
今もだが、俺は学年で目立っていた。人気者ってやつだ。
誰もが俺を知っている、そんな頃。
俺が廊下を歩いてる時、人にぶつかった。
その人は明るい茶髪を後ろで少し雑にくくっている女子だった。
「あ、すんません……」
普通、そこで向こうは俺の事が分かるだろう。
ただ、彼女は何も言わなかったのだ。目を見開く事もなかった。
勿論、俺は不思議に思った。何故俺を知らないのか、そう彼女に聞いた。
すると、面白い答えが出てきたのだ。
「え、あんた有名人なわけ?ごめん、私1人が好きだからそう言うのに弱いんだよ、まあすぐに私はあんたの事忘れるだろうね」
すぐに忘れるだろうと言った彼女。
試しにわざとぶつかってみたが、まるっきり俺の事を忘れていた。
少し、彼女の事について調べたりもした。
どこの中学出身か、どこのクラスか、頭は良いのか、彼氏はいるのかetc.。
だから、本当は土方と同じ中学だと知っていたのだ。
彼女の事を調べていくうちに、俺の中には何かが芽生えていた。
それが分からず、3年になり、彼女と同じクラスになった。
「編入生ですかィ」
「あ、どうもはじめまして。名前……苗字でいっか。井荻です、名前は後から知って」
この時も、彼女は俺の事を覚えてなかった。
だが、俺はその時、俺の中に芽生えた何かが分かってしまった。
至近距離で俺を見つめてくる目、いつも香るヒノキの香り、女子にしては少しハスキーな声。
正直、俺は見とれていただろう。その時は滅茶苦茶心臓がうるさかった。
そこで気付いたのだ。
──俺はコイツの事が好きだと。
少しでも仲良くなりたかった、少しでも特別な存在になりたかった、だから俺は荻に声をかけたのだ。
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御子柴(プロフ) - サヤさん» ありがとうございます!落ち着いたら、こちらの作品も再開する予定です。待っていてくださいm(_ _)m (2019年2月19日 19時) (レス) id: 4466855303 (このIDを非表示/違反報告)
サヤ - とても面白かったです!私も夢小説を書いていますが上手く書けないのでとても凄いと思いました! (2019年2月3日 17時) (レス) id: 4ec857cde4 (このIDを非表示/違反報告)
御子柴(プロフ) - 暁さん» 実は策士だった沖田くんで御座います。ありがとうございます、今後も頑張りたいと思います。 (2017年12月11日 18時) (レス) id: f14ce15142 (このIDを非表示/違反報告)
暁(プロフ) - 沖田くんが...!思わぬところでの四角関係、これからますます目が離せません!これからも頑張ってください! (2017年12月11日 16時) (レス) id: 5360f6898a (このIDを非表示/違反報告)
御子柴(プロフ) - シャレルさん» コメントありがとうございます、本当に偶々出来たんですけどね(笑)はい、頑張ります! (2017年11月29日 21時) (レス) id: f14ce15142 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:御子柴 | 作成日時:2017年11月29日 0時