第14話「黒は黒から」 ページ17
大量の闇がAの体を纏ったかと思うと、その闇は彼女の両腕に集中した。その魔は自然に風を作り出し、Aの髪をさらさらと揺らす。Aは腕に闇を纏ったまま、腰を少し落として右手を後ろへ引いて力をこめる。ヤミの故郷、日ノ国で言うところの”空手”のような構えだ。
彼女は大きく息を吸った。
「無明
その異様なほどに澄んだ声は、決して大きくはなかった。
だがその戦いの場に流れる静寂の中だと一音一音、ハッキリ聞こえた。
『 ？！？！？！』
Aが空を殴るようにして闇を纏った腕を振ると、黒の波動が―敵のひとつのグループだろう―集団に向かってゆらゆら揺れながら、一直線に飛んでいく。闇魔法とは思えないほど、その黒は速く、的確に相手を捉えた。10人強の人数がAの攻撃を受けて吹き飛んだ。吹き飛んだ先に近かったノゼルとフエゴレオンが飛んできた敵をみてみると完全に気絶していて、気づいたら魔が少しも残らず無くなっていた。
「これは一体…？」
「………」
団長であり、王族でもあるこの2人が驚いている。まぁ無理はないだろう。何せ騎士団にさえ属さないまだ15歳の子供が、このような強力な魔法を使うのだ。魔導書の扱いにも慣れていない様子だったのに。
2人は自分の妹、弟を思い出す。ちょうどAと同じくらいの歳だし、王族だから、もちろん魔はそこらへんの魔道士とは比べ物にならないほど強い。
だが、彼女の魔法と同じような威力の魔法を使えるかと言われれば…言葉を濁すしかなくなるのだ。
「…はぁ、雑魚の魔じゃ何の足しにもならねぇな」
Aは呆れたようにそう呟いた。
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いつの間にか6000hit…ほんとありがとうございますっ。
今度日替わりつくってみようかな…)Oo｡.(´-`)
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作者名：ミヤビ | 作成日時：2018年8月28日 20時
