pair days -episode 2-【番外編】 (ページ23)

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どうするべきか、今あの場へ行くと拳くんは絶対にファンの前で惚気ける気がしてならない。そんなの恥ずかしいよね。ファンの子が立ち去るのを待つしかないのかも？と考えていると彼がふと顔を上げてバチっと目があってしまった。

彼はにっこりと笑ってからファンの子たちに話しかけるとバイバイと手を振って私の方へ向かってくる。彼女たちがこっちを向いて、キャーキャー燥いでいる。生惚気最高、なんて声も聞こえてきた。一体拳くんは彼女たちに何を言ったのか。

「A待ってたよ〜お仕事お疲れさま」

『拳くん、いま何を言ったの』

「えー聞きたいの？」

ニヤニヤと笑って顔を覗き込んでくる。その表情は絶対に嫌な予感しかしない。聞くと恥ずかしいことになりそうだから、やっぱり聞かないと答えていた。

「それは残念だね、まあ可愛い奥さんが来たから１秒でも長く愛する奥さんとクリスマスデート楽しみたいからこの辺でごめんね、って言ってきただけだよ」

『拳くんっ、私聞かないって言ったでしょ』

そんなド直球な惚気をしたのかと恥ずかしくなってしまった。恥ずかしがってる私に彼は、A可愛いと耳元で囁いてくる。また燥ぐ声が聴こえてきた。このままここにいるとファンの人に見られてもっと恥ずかしくなる。彼女たちへ会釈して慌てて彼の腕を掴んでその場から離れたのだった。

「ふふっ、慌てるAも堪能したしイルミネーション見に行こうか」

『堪能しなくていいよ。ん、仲通り行こう』

丸の内仲通りまで行くと１Ｋｍ超続く街路樹が並んでいる。シャンパンゴールドに彩られて華やかな街並みが広がっている。素敵な光景に、綺麗と呟けば彼が腰を抱き寄せてくる。

『拳くん、くっつくのは要相談って言った気がするけど』

「相談してもくっつくのは確定だよ、こんなに寒い日なんだから当然くっついちゃうよね、俺たちラブラブでしょう。ほら周りはカップルだらけ皆自分たちの世界だから大丈夫」

そう言って今度は両手で抱き締めてきて微笑んでいる。そりゃイルミネーションを見てる人だったりカップルで仲良く歩いてる人であふれているけど、さっきみたいにファンの人がいるかも知れないって思うとあまりくっつくのはどうかなって思っちゃう。

「A、こっち向いて」

『ひゃぁ、拳くん手が冷えてるよ』

彼の右手が私の頬に添えられて上を向かされる。指先が冷えてしまって、その感触に少し驚いてしまった。
　
　
　