▽ ページ22
side.ci
「あれ、チーノやん」
購買帰り、すぐに教室に戻ろうとすれば、嫌な笑みを浮かべた緑のパーカーの男に引き止められた。
顔の見えない、目深に被った微かに迷彩混じりのパーカー。
先輩の、ゾムさんだった。
彼もまた手には購買の弁当とパンを持ち、今朝会った時と違ってピリッとしたオーラを纏っている。
嗚呼、嫌だ。良く会うものだ、本当に。
「ゾムさんじゃないすかぁ！よう会いますねぇ、今日は！」
俺も負けじと笑って見せた。
にっこりと、溌剌に。
「ほんまやなぁ…にしてもチーノ、お前そんなに食えるんか？｣
「まさか！ショッピ君とAのですよ」
彼はまた嫌な薄ら笑いを浮かべた。
キラリと光るアップルグリーンは、あまり好きじゃない。
「ふひ、仲良しやなぁ。友達なんやっけ？」
「勿論。昨日なんて、風邪引いた俺のお見舞いに来てくれたんすよ。」
「……」
「……」
俺とゾムさんは対峙したまま。
人通りの少ない踊り場で、俺達の空気を壊す人物は居なかった。
お互い無言のまま、刻一刻と時は進んでいく。
「………ま、ええわ。じゃあな」
ゾムさんはなにかを諦め、ひらりと手を振って後ろへ歩いていく。
「Aのお友達のチーノくん、」
俺の耳元で小さく、そして挑発気味に呟かれたその言葉。
俺は強く拳を握りしめた。
それ以上なにも言わず、俺もそのまま歩を進めて。
まだお友達にすらなれてないやん、ゾムさんは。
その言葉を飲み込んだ俺は、思っていたよりも冷静だったようだ。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 155人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
みどやつ - すごく好きです！こんな神作品あったことないくらい今まで読んだ中で1番気に入ってます！ (4月2日 20時) (
レス) @page28 id: 46fb34583d (このIDを非表示/違反報告)
See.(プロフ) - ふじさん» コメントありがとうございます。段々と複雑になってきて着いて来ていただけているか不安でしたが、そのように言っていただけるととても嬉しいです！ゆっくりではありますが、更新見守ってくださると嬉しいです。 (2020年12月1日 22時) (レス) id: 1d0369df29 (このIDを非表示/違反報告)
ふじ(プロフ) - コメント失礼します。ストーリー性がとっても良く続きが気になりました！もっと早くに知っておけばと後悔する程です。めちゃくちゃ気になります大好きです！これからも頑張ってください！ (2020年11月28日 4時) (レス) id: 2857c77bee (このIDを非表示/違反報告)
See.(プロフ) - いなばさん» コメントありがとうございます。そう言っていただけるととても嬉しいですー！ゆっくりゆっくり進めていきますので、生暖かく見守り下さい！ (2020年10月22日 7時) (レス) id: 1d0369df29 (このIDを非表示/違反報告)
いなば(プロフ) - コメント失礼します。めっちゃおもしろいです!!!照れちゃう男主くんがめっちゃ可愛い…、更新頑張ってください！ (2020年10月21日 22時) (レス) id: 4216ffde99 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：See. | 作成日時：2020年10月18日 17時
