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side.gr
「グルちゃーん、入るよー？」
トントンと書類整理中、軽やかなノックと元気な声。ひょっこりと顔を覗かせ、にっこりと笑うのはうちの専属料理人のAだった。
「む、Aか。どうした？」
「あれ、トンちも居る！ガトーショコラ作ったけど食べるかなーって」
「食べる！！」
「うわ、グルさんが今日一輝いた目ぇしとる」
「トンちも食べる？」
「食べますけど！！！」
「んふふ、2人とも元気そうでなによりー。」
Aはにこにこと楽しそうにして、じゃあ持ってくるねと踵を返した。
「……ん？そのブランケットどうした？」
常にコックシャツとロングエプロンを着る彼女は、今日はミルクティー色の着るタイプのブランケットを羽織っている。
Aは微かに目を見開いて、そしてほんの少しだけ頬を赤らめ、顔を俺たちから背けた。
「え、エミさん、に……借りたの、これ」
そして、逃げるように扉から出ていく。
パタンと静かに閉じられた扉、そして俺とトントンは無言で顔を見合せた。
「……なにしたんや、エミさん」
幹部とは比べものにならないほどまともなAを、妹のように可愛がっているトントンは手元の書類をくしゃりと握る。
……あのー、それ次の他国会議の日程書いてあるんですが。
「さぁ。……まぁ、Aもエミさんもお互い尊敬しあっとるからな」
「あの顔は尊敬なんか！？エミさんでええの！？」
「………事が進んでたら、幹部全員集めてエミさんを拷問に掛けよう」
「今からするべきちゃう？」
「いや、エミさんのことだから無自覚やろ。絶対」
「…………あーーー。」
トントンは納得したように、そして顔を顰めて書類のシワを伸ばし始めた。
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作者名：See. | 作成日時：2020年10月17日 11時
