忘却の館と秘密の鍵【本編】 (ページ11)

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【11/恐怖と疑問と/鬼灯美夜瀬/カジュ】ページ11

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ゲームマスターさん、という人の話をやっとの思いで聞き終えた私は、スマホを確認して一目散に自室へと駆け込んだ。
そのまま、ズルズルと扉を背に座り込む。

というのも、私は血と刃物が怖いのだ。
何故かは分からないけれど、体が拒否反応を起こす。もしかしたら、それは私の“ヒミツ”と繋がるのかも知れないし、繋がらないのかも知れない。

そして、最初に気が付いた部屋に居た血濡れの誰か。彼が、私の恐怖の対象になっていた。

ここは私だけの空間だから大丈夫だと、必死で乱れる息を落ち着かせようと深呼吸をする。

「大丈夫、迷惑をかけちゃ駄目だから……落ち着かなくちゃ」

知らない人達ばかりのこの館で、取り乱して迷惑を掛ける訳にはいかない、と言い聞かせながら深呼吸を繰り返していれば、段々と呼吸が落ち着いてくる。
それに安堵しつつも、これからのことを考え始めた。

早く帰らないとお父さんに怒られてしまうけれど、どう頑張っても帰ることが出来るのは1年後。
ならば、私は生きることだけを考えるしか無い。

「“パートナー”と“ヒミツ”……」

小さく、声に出してみた。

私にパートナーなんて出来るのだろうか。
そして、私のヒミツとは何なのだろうか。

その答えはまだ、分からない。

とにかく、1年間お世話になるこの館の地図を頭に入れなくてはと思った私は、扉を開いてスマホの地図を片手に歩き出したのだった。