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「…なんで、笑っているの?」
「悪い。入学式の日から本読んでるのとか、すげーAっぽいなぁって思ってさ」

悠馬くんの…公立高校の入学式は、まだほんの数日だけ先。
入学式の後、久しぶりに彼のアルバイト先にお邪魔した。時折、ホールを動き回る彼を見ながらいつだか先生が絶賛していたハニートーストをいただいたその帰り道。
今日の数時間の出来事を聞いてみたいと言う彼に、学校には少し早く着いてしまったけれど入学式以外の時間はいつも通り本を読んで、時間を潰していただけだから特別話すような面白い出来事は起こっていないという話をした。それを聞いた悠馬くんが、くすくすと笑いだした。…納得がいかない。
『ぽい』、『ぽくない』とかいう話なら、集合時間ぎりぎりの時間まで姿を見せなかった赤羽くんの方が、ずっとらしかったのではないかなと思うのだけれど。

「別に、いいけれど…」

新しい理事長先生。話を聞いた限りでは、基本的な方針は浅野先生のものを引き継ぐみたい。…あの人が後任として認めた人なのだから、恐らくは大丈夫、だと思う。

「それからね。浅野くんと、すこしだけ話をしたかな」

今日の、特に印象的な出来事は、入学式とあとひとつ…浅野くんと話をしたことだと思う。
普通に、今まで通りに話ができたこと、E組にいた時間が私にとって悪いものではなかったこと認めた上で、また同じクラスになることができたのを喜んでくれたこと。本当にとっても嬉しかった。



「…そっか。よかったな」
「うん」

ただ単に印象的な出来事だったから話したというだけで、一緒に喜んで欲しいとかそういうつもりは一切ないのだけれど。どうして、『よかった』と言いながら、なんだか複雑そうな顔をするのだろう。
顔を見上げながら首を傾ける私に、困ったように笑った。


「なんでもないよ」
「…本当に?」
「ああ、ほんとに。…ただまあ、なんていうかさ」

俺がいるんだってことは忘れないでくれよ、と。私の頭に手を乗せながら少し冗談っぽく笑う。
彼の言葉に込められた真意は、いまいちわからない。私は、そこまで忘れっぽくはない。というか…心から大切にしたいと思っている人のことをそんなに簡単に忘れてしまうと思われているのは、なんだか、心外。

「悠馬くんのことを忘れたりは、しないよ?」
「んー…。多分だけど、そういうことじゃない」
「…じゃあ、どういうこと、なの?」
「Aのこと、1番好きなのは俺だってこと…かな」
「…??」

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nano*(プロフ) - チキン神様さん» チキン神様さま、ありがとうございます。お待たせいたしました!続編も楽しんでいただけるように頑張りますね。またよろしくお願いいたします (2022年7月11日 10時) (レス) id: da0c6565c0 (このIDを非表示/違反報告)
チキン神様(プロフ) - ついに!ついにです!続編が公開されました!!nanoさんお疲れ様です〜! (2022年7月10日 21時) (レス) @page2 id: a44e6bddf2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:nano* | 作成日時:2022年7月10日 21時

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