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「…A?」

これからのことを若干心配しながら隣を歩く彼女にほんの少し、寂しさみたいな色が見えたから。気になって声をかけてみた。きょとんとしたような顔で俺を見上げてくるAはいつも通りだけど、さっきのが気のせいだとも思えなかった。

「どうしたの?」

いや、うん。それはこっちのセリフなんだけどなぁ…。

「んー…なんか、寂しそうに見えたから気になって」

なんとなくだけど、曖昧な聞き方をしても俺の聞きたい話はしてくれない気がしたから。

「…さみしそう…」

俺の言葉を静かに繰り返して、少し困ったみたいに笑った。自覚はなかったのかな。でも、どうやら何かを考えてたって心当たりはあるみたいだな。
話すかどうかを悩んでるっぽいとこを見ると、殺せんせーのことを思い出してしんみりした…とかでは、ないのかな。

「話したくないなら無理にとは言わないけどさ、誰かに聞いてもらった方が楽になることってあるだろ?」
「…ん、と…。これからもきっと、烏間さんの助けが必要になることもあるでしょう?」

山の購入、寄付、賞金の返還。話し合いを終えた今でも現実味が感じられない桁の、大金を動かすことになる。高校生だけの力ではどうにもならないこともあるだろう。という話から始まった。烏間先生…烏間さんも、手を貸してくれるって言ってたし、どうにもならなくて困る、みたいな状況になることはないだろうと思うけど。

「困った時に手を貸してくれる大人がいる、ことがね…」

視線を若干下に向けながら、言葉を探す彼女が言いたいことをどうにか汲み取りたくてちょっと首を捻ってみる。
子どもだけの力でどうにもならない時は身近な大人に頼るし、手を差し伸べてくれる大人がいる。
親をはじめとしたたくさんの人から受け取って来たものだ。それも、Aにとっては違う。

「どう言えばいいのか、わからないのだけど…。こんなにも安心できることなんだ、って。いいことだな、と、思った…かな」
「…そっか」

こんな時にどう言ったらいいのかが、俺もよくわからない。
それに気が付けること自体は多分、いいことなんだろうけど…。

「寂しい、のかはわからないけれど…大切にしようとは思った。これも、E組で生まれた大切な縁だから」

なんとなくAらしい思考の向き方だなとは思う。さっき俺が見た気がした寂しげな顔は…Aが自分の気持ちに鈍いのか、俺の気のせいだったのかはわからない。

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nano*(プロフ) - チキン神様さん» チキン神様さま、ありがとうございます。お待たせいたしました!続編も楽しんでいただけるように頑張りますね。またよろしくお願いいたします (2022年7月11日 10時) (レス) id: da0c6565c0 (このIDを非表示/違反報告)
チキン神様(プロフ) - ついに!ついにです!続編が公開されました!!nanoさんお疲れ様です〜! (2022年7月10日 21時) (レス) @page2 id: a44e6bddf2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:nano* | 作成日時:2022年7月10日 21時

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