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「…怪我、は、ないんだよな。変なこと…は、されてたか…触られたのは、腕だけ？」
私に何かを尋ねようとしては自己完結、を繰り返して、最後にひとつだけ質問をしてきた。
まだ、強く握られた感触が残る手首に彼の温かい手がかるく触れる。
「悠馬くん？」
「うん？」
彼の声を聞いて、肩を抱かれて、顔を見ても。まだ、なんだか信じられなかった。
「…悠馬くんは、すごいね」
「すごくないよ、もっと急げばよかった」
「じゅうぶんだよ。来てくれただけで、じゅうぶん」
「そっか。それなら、まあよかった」
帰っている途中で私の家に明かりがついていないのを見て、こんな時間なのに、って引き返したのだそう。本当にすごいこと、だと思う。怖いとき、困ったとき、寂しいとき…こうして必ずそばにいてくれる。それってなんだか、物語のヒーローみたいだ。もらってばかりなのは、嫌だから。私も、そんな風になれたらいいなと思う。
「あの。ごめ……ありがとう」
「ん。どういたしまして」
助けてもらわないと、何も解決できなくて。こんなところを見せてしまって。…彼の、自己評価を下げてしまいかねない場面を見せてしまった。私としては、あんな人が言うことなんて気にしないでいて欲しいけれど、全く気にしないことはできないと思う。
たくさん、謝りたいことはあったけれど…ごめんなさい、と言おうとしたら変な顔をする。
「今日のことに、Aが謝らなきゃいけないことなんて何もないだろ」
「…そう、かな…」
「まあ…Aがあいつを誘惑したとか。何か悪いことした自覚があるなら聞くけど？」
首を横に振った私を見てくすくす笑うと、最後にぎゅう、と腕に力を込めて、悠馬くんが先にすくっと立ち上がった。
「立てるか？」
「……ん…うん。ありがとう」
彼の手を借りながら立ち上がって、落としてしまった鞄を拾う。悠馬くんが、その時は邪魔に思えて放り投げてしまったという荷物も回収して、帰路につく。
「…俺、さっきあいつに変な感じでマウント取ってた気がするな…。俺の方が知ってる！とかさ…。でもあいつ…向こうまで声聞こえてきたんだけど、俺の方がって…なんか、悔しかったし」
「…ふふふ」
「笑うなよ…。こっちは結構真剣なんだから」
「ごめんなさい」
「いや…笑ってもらった方が良いかも」
「…どっちなの？」
比べるまでもなく、私にとっては、悠馬くんの方がずっと、ずっと素敵な人だよ。それは相手が誰だろうと、絶対に揺らいだりしない。
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nano*(プロフ) - チキン神様さん» チキン神様さま、ありがとうございます。お待たせいたしました！続編も楽しんでいただけるように頑張りますね。またよろしくお願いいたします (2022年7月11日 10時) (
レス) id: da0c6565c0 (このIDを非表示/違反報告)
チキン神様(プロフ) - ついに！ついにです！続編が公開されました！！nanoさんお疲れ様です〜！ (2022年7月10日 21時) (レス) @page2 id: a44e6bddf2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：nano* | 作成日時：2022年7月10日 21時
