検索窓
今日:53 hit、昨日:5 hit、合計:19,713 hit

42 ページ43

よくわからないとはどういうことか、と。…彼の疑問はなんというか、当然のものだと思う。
私だって、あの人との関係は?と尋ねて『よくわからない』なんて答えが返ってきたら聞き返してしまうと思う。自分と誰かとの関係を説明するうえでよくわからない、なんて意味不明な答え方をすることがあるとも思わなかった。
でも、少なくともお友だちではないと思う。相手が何を考えているのか、何を思って話しかけてきているのか、よくわからない。

「あいつとどんな話するのか…とか、聞いてもいいか?」
「…本、好きなんだって話しかけられたり…放課後に予定があるか、って尋ねられたり。それから、今日はテストの点数を褒められたり、とか…?」

彼に話しかけられた時のことを思い返してみるけれど。やっぱりなんだか、変わった人だな。

「…んん、っと…他には?」
「えっと…あとは…あ。さっきは、彼氏がいるかどうかも聞かれて」
「なんて答えたんだ?」

先程まで首を傾げていた彼が、最後のやり取りについてだけは食い気味に私の回答を気にしてくる。

「普通にうん、って。…隠した方がよかった、かな…?」

どうしてこれだけは、そんなに気にするのか。少し考えて尋ねてみる。
恋人の有無は、初対面の相手にでも気軽に尋ねられるような、重要度の低い情報…なのだと思ったから。彼も軽い雑談のようなもののつもりなのだろうと思ったけれど。私がよくわかっていないだけで、そこまで親しいわけでもない人に話すようなことではないのかもしれない。

「いや、逆っていうか。うん、とりあえずよかった」
「…それなら、よかった…?」

逆…ということは、正直に答えてよかったということだよね。きっと。なんだかよくわからないけれど、少しほっとしたように息を吐き出す悠馬くんに、今度は私が首を傾げる番だった。

「うーん…Aが自分で思ってるよりもずっと、Aは可愛いし、魅力的な女の子なんだぞーってことだよ」
「えっと」

多分褒められている。すごい勢いで、褒められている…気がする。なんだか恥ずかしいからやめて欲しい。

「その顔、納得してないな?」
「…悠馬くんは少し…私に対して過大評価が過ぎる節があると思う」
「ないよ」
「…あるよ…?」


「クラスメイト」
「ん?」
「お友だち、というほどではないと思うから、その。クラスメイト、だと思う」
「…そっか」

高野くんとの関係を表すのにぴったりなことばはきっとこれ。それ以上でもそれ以下でもない。

43→←41



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (38 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
85人がお気に入り
設定タグ:暗殺教室 , 磯貝悠馬
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

nano*(プロフ) - チキン神様さん» チキン神様さま、ありがとうございます。お待たせいたしました!続編も楽しんでいただけるように頑張りますね。またよろしくお願いいたします (2022年7月11日 10時) (レス) id: da0c6565c0 (このIDを非表示/違反報告)
チキン神様(プロフ) - ついに!ついにです!続編が公開されました!!nanoさんお疲れ様です〜! (2022年7月10日 21時) (レス) @page2 id: a44e6bddf2 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:nano* | 作成日時:2022年7月10日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。