41 ページ42
「一ノ瀬って、マジですごいな。中学ん時の話、中学も椚ヶ丘だった奴に聞いてもまだちょっと半信半疑みたいなとこあったんだけどさ。あの結果見せられたらなんも言えないよなあ」
「…ん、と…?」
突然、もう帰るのかと話しかけられて(放課後に校門近くまで出てきているということは、聞くまでもなくそうだと思ったけれど。そこについては指摘しないでおく)…多分、褒められた…?相手は例によって、クラスメイトのはずなのにわざわざ放課後の時間を割いて…今日は教室でもない場所で話しかけてきた高野くん。やっぱり、クラスの人の目につきづらい場面を選んでいる、ような気がするな。
何か不正を働いているのではないか、みたいなあらぬ疑いを掛けられていたり、嫌味を言いに来た、とかだったらどうしよう。
ひとまず相手の意図を探るために首を傾けることで返す。校門前で待ち合わせている悠馬くんは、今日はまだ、着いていないみたいだし…彼の話を聞く時間くらいはある。
「あー?どういう反応なんだろう、それ。純粋にすごいなって言ってるんだけど」
「…ごめんなさい…。その…ありがとう…?」
相手のことがよくわからないからと言って、疑いすぎ、だったかな…。
「謝ることでもないけど?…やっぱり、一ノ瀬ってなんか、面白いな」
「…面白いことを言ったつもりは、ないのだけど…」
私は、彼の純粋な褒め言葉を疑ってしまったことについて謝って、褒めてくれたことに対するお礼を言っただけ…のつもり、だったのだけれど。『やっぱり』ということは普段から面白おかしい人間だと思われているのかもしれない。
謝罪と感謝の言葉しか伝えていないはずなのに、どこをどう面白がられているのか、よくわからない、なんなのだろう、これ。今度こそ本当に嫌味…?
「そうだ!」
頭の中でぐるぐると考えていたら大きな声を出すから驚いてしまった。
「ずっと聞きたかったことがあって。一ノ瀬って、彼氏とかいる?」
「…えっと…」
E組の教室に初めて足を踏み入れたその日も同じ質問を受けた覚えがあるから。恋人の有無は、どんな相手だろうと気になるもの…なのかもしれない。そういう年頃…ということ?
「うん。…もう、帰るね?」
「そ、っか…ん。また明日な!」
嘘をつく意味もないと思うから、彼の質問に頷くことで答えた。丁度良く悠馬くんの姿が見えたから、頭を下げてその場を離れる。
やっぱり、変な人だな…。
「お疲れ…友だちか?」
「よくわからない」
「えっ?」
85人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
nano*(プロフ) - チキン神様さん» チキン神様さま、ありがとうございます。お待たせいたしました!続編も楽しんでいただけるように頑張りますね。またよろしくお願いいたします (2022年7月11日 10時) (レス) id: da0c6565c0 (このIDを非表示/違反報告)
チキン神様(プロフ) - ついに!ついにです!続編が公開されました!!nanoさんお疲れ様です〜! (2022年7月10日 21時) (レス) @page2 id: a44e6bddf2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:nano* | 作成日時:2022年7月10日 21時