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「…どういたしまして」
誰かが私のことを想って、選んでくれた…そういう、すこし特別な形のある物を贈られるのは、本当に久しぶりのことだった。だから、贈り物をもらったこと、それ自体も本当にとっても嬉しい。誰かから、何か、物をもらうことというのは、こんなにも嬉しいことだったのだなと、少し驚いてしまっているくらい。
彼にはいつも、物理的にも精神的にも、支えられてばかりだと思っていた。彼が私にとっての『安心できる相手』であるのと同じように。私も彼の支えに、それがほんのわずかだとしても、何かになることができているという事実が、嬉しかった。
涙の原因がそのどちらか、はたまた両方なのかはわからないけれど。悠馬くんは私を喜ばせて…私の心に、温かいものをたくさん、入りきらないくらいにたくさん詰め込んで、入りきらなかった分を涙として流させるのが、得意みたいだ。
相手を困らせるのも…誰かに弱みを見せるのも、嫌だったから。人前では泣かないようにしてきたはずなのに。彼の前だと、今までずっとうまくできていたはずのことが、なんだかうまくいかない。…本当に、変わった子。
「大切に食べるね」
「Aが喜んでくれたなら、よかったよ」
「…うん」
「じゃあ、そろそろ帰るな」
「…」
帰ろうとする悠馬くんを…服の裾を掴んで引き止めてしまった。咄嗟にしてしまったことで、驚いたようにこちらを振り返る彼に何を言えばいいのかわからない。だって、私自身も自分の行動に驚いているくらいだもの…。
これ以上引き止めるのは彼を困らせてしまうかも。困らせるのは、いやだな。
「…私にとってのあなたも、そう…だからね。ひとつ、私と一緒に、食べてくれる？」
彼の目を見つめながら少し固まってしまった後、ふと思いついて、荷物の上に乗せた箱からキャラメルの包みをひとつ取って、彼の手に握らせてみる。私にとっての彼も安心できる人なのだという事実は、彼にもきちんと知っていて欲しいと…それはもしかすると彼にはまだ、きちんと伝わっていないかもしれないと、そう思ったから。
「Aにあげたやつだし俺が食べるのは…」
「好きなもの、初めて食べるもの、なんでもない普通のお弁当でも。一緒に食べてくれる人がいるともっと美味しくなる。それを教えてくれたのもあなたで、みんなだから」
「…参ったな」
「ふふふ」
彼には敵わないと思ってしまうことが多いけれど…ことばでの説得に関してだけはまだ、彼に負けるつもりはない。
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nano*(プロフ) - チキン神様さん» チキン神様さま、ありがとうございます。お待たせいたしました！続編も楽しんでいただけるように頑張りますね。またよろしくお願いいたします (2022年7月11日 10時) (
レス) id: da0c6565c0 (このIDを非表示/違反報告)
チキン神様(プロフ) - ついに！ついにです！続編が公開されました！！nanoさんお疲れ様です〜！ (2022年7月10日 21時) (レス) @page2 id: a44e6bddf2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：nano* | 作成日時：2022年7月10日 21時
