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久しぶりに浅野くんとゆっくり話をする機会ができて…彼が、去年のことをきちんと聞いてくれて。本当に嬉しかったし、楽しかったな。
予想通りというか、なんというか…隙あらば話の中によくわからない嘘を織り交ぜてみたり、浅野くんが苛立つような発言をして、私の目には大変楽しんいるように映った赤羽くん。苛立つ浅野くんも、彼が自分の感情を一切隠そうとしないのも、なかなか見ることのない姿だったから…それが良いことなのか否かは置いておいて、新鮮ではあったかな。私の役割は赤羽くんの嘘を訂正して話を戻したり、ほどほどに、と窘めたり、浅野くんが感じた疑問に答えたり、というもの。
赤羽くんの動きを予測して浅野くんが私も呼んだのだとしたら、彼は赤羽くんのこともよくわかっているのだなと思う。彼を知り己を知れば百戦殆うからず、とも言うものね。
「A、今日はありがとう。君がいてくれて助かった」
「どういたしまして。呼んでくれてありがとう。浅野くんも、赤羽くんもお疲れ様」
「お疲れ〜。頭使ったし、浅野の金で甘いもん食べにいこーよ」
「誰がお前に奢ってやるか。真っ直ぐ家に帰れ」
赤羽くんが頭を使ったのは、あれこれ思い出したり、わかりやすく説明したりするかということよりも、いかに浅野くんを苛立たせるか、にだと思う。
「…出来れば次は赤羽抜きで話を聞かせてほしいところだな」
「ふふふ…事実を知っている人は多い方が、より正しく、詳しく知ることができるのではないかと思うよ?私は途中で転級した身だからすべてを知っているわけではないもの」
異色の学園生活や先生について。
実際に目にしてはいない、現実離れしたものを理解しようとしたこと…更に、何度も苛立たされたことで、浅野くんは本当に疲れただろうな。それでも、もうやめようとは1度も言い出さなかった。本当に、真実をきちんと知りたいと思ってくれているのだと思う。
赤羽くんにはお礼を伝えようとしないのが、彼なりの精いっぱいの抵抗なのかもしれない。
「それ言っちゃったら、俺も4月の終わりまで停学食らってたから、せんせーが来たばっかの頃のことは聞いた話でしか知らないけどね」
「…それもそうだね」
「それにね、浅野くん。今までずっと、いつも2人だけだった、から。…2人で話をするのも、もちろん好きなのだけれど。こういう賑やかなのもいいなと、思うの」
「…ああ。わかったよ」
「Aちゃん…それ、やりすぎると磯貝の胃に穴開くよ」
……どれ?
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nano*(プロフ) - チキン神様さん» チキン神様さま、ありがとうございます。お待たせいたしました!続編も楽しんでいただけるように頑張りますね。またよろしくお願いいたします (2022年7月11日 10時) (レス) id: da0c6565c0 (このIDを非表示/違反報告)
チキン神様(プロフ) - ついに!ついにです!続編が公開されました!!nanoさんお疲れ様です〜! (2022年7月10日 21時) (レス) @page2 id: a44e6bddf2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:nano* | 作成日時:2022年7月10日 21時